リーチマイケル、リーグワン連覇を引き寄せた稀有なキャプテンシー ともに歩んできた“ノンメンバー”の思い

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2025年06月05日 19:18  TBS NEWS DIG

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今月1日に行われたNTTジャパンラグビーリーグワン2024‐25の決勝で、東芝ブレイブルーパス東京がクボタスピアーズ船橋・東京ベイに勝利し連覇を達成した。

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試合後に行われた優勝会見の冒頭、キャプテンのリーチマイケル(36)は「ここまで支えてくれたスタッフ、ノンメンバーに感謝しかない」とコメント。

ラグビーの先発メンバーは15人、控えメンバーは8人、そしてそれ以外のベンチに入れない選手は“ノンメンバー”と言われ、与えられる主な仕事は分析した対戦相手の戦い方を覚えること、そして先発メンバーたちの練習相手になること。

去年まで東芝に在籍し、会場で連覇達成の瞬間を見届けた元選手の金寛泰(きむ がんて)
さん(33)。金さんも試合に出場できないノンメンバーとしての時間が長かった。

その金さんが東芝の強さの秘密を「リーチさんの存在感です。本当に稀有なキャプテンで、これまでのラグビー人生で会った事の無いような人です」と教えてくれた。

金さんは2015年に東芝ブレイブルーパス東京(当時は東芝ブレイブルーパス)に入団、主に「プロップ」というスクラムを組む時の最前列でプレーしてきた。年代別の代表に選ばれたこともあったが、2019年に現在も指揮を執るブラック・アダーヘッドコーチ(53)が就任してチームの強化が進むと出番は減り、ベンチ入りもままならない状況になっていった。

「ノンメンバーは週末に行われる試合に向け、月曜に分析された情報を頭に叩き込み、火曜日の練習から対戦相手になり切る。でも本当は自分も試合に出たいじゃないですか。対戦相手になりきりながら自分も認められたい、アピールもしたい、腐りそうになること、葛藤は少なからずありました」と当時の思いを明かす。

最もつらかったのは去年、チームがリーグワン初優勝にひた走っていた最終盤の時期。

「準決勝の前に戦力外を通告されました。次のシーズンこそはと思っていたのでショックで、かなりキツかったですね」

引退するのか、それともどこか他のチームを探して現役を続けるのか、考えなければいけないことが次から次に出てきて落ち着かない。そういった状況でもノンメンバーとしての仕事は続き、対戦相手になり切ってチームを勝たせなくてはいけない。そんなぐらつく気持ちを立て直せたのはリーチマイケルキャプテンの存在の大きさだった。

「リーチさんは一番経験があって一番練習をする。試合では一番タックルをする。偉ぶるところが全くない。それにチームの中でいろんな小さな会を作ってくれる。僕は『韓国会』や『関西会』それに『スカルプ会』とか他にもいろんな会に入っていたんですけれど、全部会長はリーチさんです。そういったメンバーたちと飲んだり食べたりコミュニケーションを取ってくれる。新人選手を家に呼んで飲み会を開いたり、時には自虐的に自分の頭髪ネタを出して盛り上げることもあります。リーチさんについていけないという人は聞いたことが無い。選手全員の結束はとても強いし、これ以上の場所は他にあるのか?と考えて、やはり東芝の一員として現役を終えようと思いました」

実際、今年のリーグワンで2年連続年間最優秀選手賞を獲得した世界的なスーパースター、元ニュージーランド代表のリッチー・モウンガ選手(31)も、リーチキャプテンを「兄のような存在」と慕っている程だ。

去年、金さんはシーズン最後の練習でも相手チームになり切った。国立競技場での決勝でプレーすることは出来なかったが、東芝ブレイブルーパス東京の初優勝とともに悔いなく現役を引退することが出来た。

今年の優勝を見届けると「この瞬間も去年の自分のようにノンメンバーで悩んだりしながら見ている選手がいると思うんですよね。でもこのチームで手にした優勝の喜びって何物にも変えられません。僕自身は本当にこのチームで終えられて良かったと思います」と気持ちを吐露。

試合が終わり、多くの報道陣で混雑するインタビュールームの端で、スーツに着替えた出場選手たちと抱き合い、そしてリーチマイケルキャプテンと笑顔で会話をする金さんの姿があった。

※写真:リーグワン優勝時、主将・リーチマイケルを胴上げ

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