
玄関先に訪れたのは、季節の風にまぎれてやってきた、小さなキジトラの男の子でした。2010年代半ば、飼い主のXユーザー・うにねこさん(@Unineco21412)の前に、突然現れたのが蓮(れん)くん。その日を境に、ペットロスで沈んでいた心に、新しい光が差し込むことになります。
地域猫の町に現れた“人懐こい子猫”
当時住んでいた地域は、猫を捨てていく人もいる場所だったといいます。蓮くんはある日突然、細い体でふらりと姿を見せました。
「生後5、6カ月のキジトラの細い体の子でしたが、人懐っこく、抱っこすると喉をゴロゴロ鳴らしていたので、夫と相談をしそのまま自宅に連れて行きました」
もとから人慣れしていたのか、驚くほど自然に腕の中で喉を鳴らしたという蓮くん。その安心しきった姿に、飼い主さん夫婦の気持ちは固まりました。「この子と一緒に暮らそう」―静かな決断が、そこにありました。
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ペットロスの心を救ってくれた、小さな命
実は4カ月前、飼い主さんは大切な存在を亡くしていました。
「私は小さい頃から犬や猫が常にいる生活を送っていました。蓮を保護する4カ月ほど前、実家で飼っていた犬が亡くなりペットロス状態に…。その辛さを癒やしてくれたのが蓮です。人慣れしていて、さほど時間はかからず家に慣れてくれました」
幼いころから当たり前のようにそばにいた動物たち。その存在を喪った直後に現れた蓮くんは、日々を少しずつ照らしてくれたのです。
神経質だけど優しい“お兄ちゃん”になった蓮くん
現在7歳を迎えた蓮くん。優しい飼い主さんのもとですくすくと成長し、立派な成猫になりました。今では、やさしい性格をのびのびと発揮しているそうです。
「蓮は、繊細で慎重な一面を持ちながら、優しく面倒見のいい子です」
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蓮くんを迎えた2年後には、新たに子猫の瑠偉(るい)ちゃんが家族に加わりました。
「最初、蓮は子猫のことを警戒していましたが、だんだんとお兄ちゃんどころか、まるで親のようにお世話をするようになりました。瑠偉がトイレから出ると、代わりに“砂かけ”をしてあげるほど世話焼きです」
その後、黒白タキシード柄の「ママ」ちゃん、三毛猫の「みぃ」ちゃんも迎え入れ、飼い主さんのおうちで4匹の猫が家族になりました。蓮くんにとって、瑠偉ちゃん、ママちゃん、みぃちゃんはかけがえのない存在になっているようです。
「蓮は、同居猫が入院したりするとしょぼくれてしまいご飯を食べなくなってしまうほどみんなのことが大好きです」
おうちにやって来た当初は、ツンデレで甘え下手なところがあったという蓮くん。今では、少しずつ変化が見られるようになりました。
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「最近は『かまって』とはっきりアピールするようになりました。歳を重ねるごとに、わがままな一面を見せてくれるようになってきたところも飼い主としてとても愛おしく、うれしいです」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)