※写真はイメージです 移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
今回は、マナーの悪い客に腹が立ったという2人のエピソードを紹介する。
◆無言で割り込んできた男性にイライラ
朝の通勤ラッシュの時間。早見玲香さん(仮名・20代)は、いつものように電車を待つ列の最後尾に並んでいた。
すると突然、中年男性が“当たり前のように”横から列に割り込んできたという。
「私や周りの人に目をやることもなく、無言でスッと入ってきたんです。男性は、まったく悪びれる様子もなく、気まずさも感じていないようでした」
せっかく早くから並んでいた早見さんは、次第にイライラが募ってきたそうだ。
◆何も言えないもどかしさ
「男性に注意しようとも思いましたが、勇気もありませんでした。マナーが悪い人は逆ギレしてくるか、無視するだろうと思って……」
結局、なにもできなかった自分自身に対してもモヤモヤした気持ちが残ってしまった。
その後、電車がホームへ到着し、並んでいた人たちは順番に乗車。一方の男性は、まるで最初から並んでいたかのような顔で車内へと消えていった。
「私も列に従って乗車しましたが、気持ちが晴れることはありませんでした」
◆うつくしい街並みを眺めていたら…
武田友里さん(仮名・20代)は、家族3人で小旅行のため特急列車に乗っていた。
「3人で並んで座っていました。高齢の両親もいたので、『座れてよかったね』と話していたんです」
うつくしい景色や街並みを眺めながら過ごしていると、大声で話す若い男女4人が乗り込んできたという。
「女性は甲高い声で手をたたきながら笑っていました。3人の男性は、サッカーの試合について興奮気味に話していましたね」
竹田さんは、「今が一番楽しい時期なんだろうな」と微笑ましく思っていたそうだ。
しかしその後、その思いを打ち砕かれるような展開に……。
一人の男性が武田さんたちを見て、「あいつら、さっきからずっと座ってね?」と小ばかにしたように笑い出したのだ。
するとほかの仲間も呼応するように、「図々しくね?」「体力なさすぎでまじ笑う」と続けたという。
「自分たちのことを言っていると察した両親は、“あきらかに不快そうな表情”を浮かべていました」
たまらず振り向いた武田さんに対し、「わぁ、あの人こっち睨んだ!」と嫌悪感を露わにしたのだとか。
◆若者たちの態度が変わった車掌のひと言
「早く降りたい」と思っていると、特急券の確認のために、4人の前に車掌が現れた。
「これまでの立ち振る舞いとは打って変わって、おどおどした表情を浮かべていました。すると車掌さんが、『もしかして、君たち切符買ってないの?』と尋ねたんです」
車掌の鋭い視線に、彼らは観念したのか、一気に静かになったようだ。
「特急券を買い忘れたのか、そもそも買っていなかったのかはわかりません。でも、その場面を見て、なんだかスッキリした気分になりました」
電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。