無線LANルーター市場でWi-Fi 7対応比率が過去最高、2割に迫る

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2025年06月06日 18:01  BCN+R

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 無線LANルーター市場ではWi-Fiの最新規格であるWi-Fi 7に対応する製品の販売台数構成比が増加している。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」では、2025年5月のWi-Fi 7対応製品の構成比は過去最高の17.6%だった。製品ラインアップの拡充や平均単価の下落、Wi-Fi 7対応デバイスが増加したことによる需要の増加が要因と考えられる。

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 Wi-Fi 7は2023年12月に総務省が認可したWi-Fiの最新規格。前世代であるWi-Fi 6(6E)に比べて通信速度や接続の安定性などが向上している。認可当初は対応する無線LANルーターの数が少ないことに加え、ハイエンドモデル中心のラインアップだったため平均単価は4万1600円と高く、24年5月時点でのWi-Fi 7対応無線LANルーターの販売台数は市場全体の僅か2.0%にすぎなかった。

 25年10月までWi-Fi 7対応製品の構成比は5.0%未満で推移したが、11月に7.8%に上昇。12月には10.0%となり、初めて2ケタ台に達した。24年8月以降に各社から平均単価1万円前後の手頃なWi-Fi 7対応無線LANルーターが発売されたことに加え、「iPhone 16」シリーズや「Pixel 9」などWi-Fi 7に対応するスマートフォンの発売により、Wi-Fi 7の恩恵を受けられるユーザーが増えたことも構成比増加の要因だろう。

 25年1月以降も平均単価は下がり続け、4月には初めて2万円を下回った。5月は更に下落し、1万8600円となっている。単価の下落に比例するように構成比は増加しており、直近5月は17.6%と過去最高を記録した。

 Wi-Fi 7対応無線LANルーターに絞った市場での、25年5月のメーカー別販売台数シェアは、TP-LINKが55.1%と過半数を占めた。売れ筋製品は「Archer BE7200」や「Archer BE3600」。それぞれ平均単価は約1万円のエントリーモデルで、市場全体の平均単価を8000円程度下回っている。

 2位のバッファローはシェア19.9%。同社の売れ筋製品は「WXR9300BE6P」で、平均単価は2万7000円。TP-LINKの売れ筋製品に比べ1〜2万円ほど高い。こうしたラインアップの違いが、メーカーシェアの大きな差に繋がっている一因だろう。

 バッファローは25年5月に初めてエントリーモデルのWi-Fi 7対応無線LANルーターである「WSR3600BE4P」を発売した。同製品の平均単価は約1万円で、価格面ではTP-LINKの売れ筋製品と互角と言える。ラインアップの拡充によって両社のシェア差がどこまで縮まるのか注目だ。

 BCNが24年9月に実施した「無線LANルーター購入者調査」にて、「Wi-Fi 7」という用語の認知度を訊いたところ、認知度(「理解している」19.5%、「理解していないが、言葉は知っている」26.6%の合計)は46.1%と、半数を下回った。現状、認知度はより高まっている可能性もあるが、Wi-Fi 7を知らないユーザーも一定数存在しているとみられる。

 今後、メーカーが無線LANルーターのラインアップをWi-Fi 7対応製品にシフトさせていくのは確実だ。また、スマートフォンやPCなどWi-Fi 7に対応するデバイスが増えていけば、Wi-Fi 7の認知も進むと考えられる。無線LANルーター市場におけるWi-Fi 7対応製品の構成比は今後も右肩上がりで増加していくだろう。

■BCN総研・筧 采斗(かけい さいと)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースです。

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