小泉進次郎農水相、備蓄米の“弾切れ”で投入検討の「ミニマムアクセス米」の恐怖

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2025年06月07日 11:10  週刊女性PRIME

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小泉進次郎農林水産大臣(5月25日全国植樹祭で)

 江藤前農水大臣の「米買ったことがない」失言からわずか2週間。

 小泉進次郎新農水大臣の随意契約による備蓄米放出で、イオン、ヨーカ堂など大手スーパーの店頭に5キロ約2000円の米が並び、その効果かはわからないが、その他の小売店でも棚から消えていた米が並び始めたという。

 そのスピード感で、ひとまず賞賛されている「小泉効果」だが、その武器となる備蓄米は放出前の3分の1となり早くも“弾切れ”が囁かれている。

そもそも「ミニマムアクセス米」とは?

 そんな中、小泉農相は3日「(備蓄米を)仮に全部放出して、その後どうするかについては、ミニマムアクセス米の活用も可能だ」と国会で発言。また、4日には会見で「ミニマムアクセス米も含めて、あらゆる選択肢を考えて、コメの価格の高騰をなんとしても落ち着かせる」と述べた。また、6日の会見では、外国産米の政府による緊急輸入もあり得るとの認識を示した。

 小泉氏が追加の切り札にしようとしているミニマムアクセス米とは?

「日本は1980年代まで米の輸入をほとんど行っていませんでしたが、多国間貿易交渉『GATTウルグアイラウンド』(1986年〜1993年)の合意で最低限輸入しなければならない米の量を課されました。こうして1995年から輸入しているのがミニマムアクセス(MA)米です。1999年に米の輸入制限が撤廃され、関税が課されるようになってもそれは継続しています。MA米は国内の米価格に影響を与えないよう、国が一元的に管理しています。輸入量は現在、年間約77万トン(玄米ベース)。アメリカやタイ、中国などから輸入されています」(全国紙記者)

 このMA米はあまり目立っていないが以前から物議のタネであった。

 2024年の米の需要量が700万トンなので77万トンは11%。割合としてそれなりに大きいため食料自給や財政負担の観点からも輸入を減らすべきという議論がある。また主に加工用や海外援助用に利用しているものの消費しきれておらず、政府としても言葉は悪いが「扱いに苦慮している」存在なのだ。

 また、MA米には「三笠フーズ事件」という苦い記憶もある。

 米卸売加工会社「三笠フーズ」が2004年から2007年ごろ、カビや基準値を超える残留農薬などが検出された「事故米」を農水省から工業用のり原料として安値で購入し、食用として不正転売、学校給食などに流通していた事件だ。社長は実刑判決を受け、時の農水大臣と農水事務次官が辞任している。この事故米には国産米もあるが、MA米から来たものもあるとされている。

 そのため、SNS、掲示板上では、

《ミニマムアクセス米(毒米)を日本人に食わせるつもり》

《横文字にして危険性をぼかしている》

《主食にするのは危険だ》

 などと早速主食としての流通を危ぶむ声が出ている。

 さてこのMA米、実際の安全性はどうなのだろうか。獣医師、ジャーナリストとしてコロナ禍から多くの医療情報を発信する星良孝さんに聞いた。

「三笠フーズ事件以後、農水省は、米の輸入時に、輸出国(産地国)において、試料を採取し、かび毒、重金属及び残留農薬等の検査を行い、食品衛生法の基準等に適合した米のみを買い入れるなど、ルールを厳格化しています。対策強化によって農薬関連の有機リンのような問題成分の混入はかなり減ってくると考えられます。アメリカで市販されている米からヒ素やカドミウムが検出されたという話もあり、海外産の米にリスクはありますが、対策が強化されたことで危険性のある米が弾かれているのは好ましい状況といえるでしょう」

 ミニマムアクセス米の安全性を論ずる際によく取り上げられるのは発がん性があるカビ毒「アフラトキシン」で、これが国内での備蓄の過程で発生するリスクも考えられるが、

「農水省はMA米を販売する直前に、全量を解封し、1袋ごとにカビ状異物を目視等で検査するとともに、試料を採取し、カビ毒を分析すると公表しています。食品用では、カビ状異物が混入していた容器包装ごとに全量廃棄処分。カビ状異物が混入していない容器包装の米穀についても、カビ毒の分析をして、規制値以下の濃度であることを確認したもののみを販売しているとのことです」

 ちょうどこのような検査が始まった2009年にMA米からカビの発見が相次いだというニュースがあったが、その後確認する限りない。対策強化で弾かれているのかもしれない。

「災い転じて福となすという状況ではないでしょうか。もっとも日本国産米でもカドミウム混入が問題になることがあり、必ずしも国産米だから100%安全とならないケースもあります。国内外よらず、検査をして、問題成分の混入を防いでいく対策が求められるでしょう」

 また、仮に発がん性物質、殺虫剤などに汚染された米を食べた場合の健康的影響についてはこう話す。

「発がん性分は、カビ毒のアフラトキシンのほか、重金属のカドミウムやヒ素。殺虫剤汚染は有機リンが考えられます。これらを食べたときには、アフラトキシン、カドミウムやヒ素は、リスクを高めるという問題なので、継続的に摂取した場合に、がんの可能性が高まるということです。一回食べてどうなるかという問題ではないでしょう。現在の検査体制から見ると、現実的に、これで即がんというわけではないといえます。

 有機リンについては、高濃度である場合に、神経に影響するので、影響がいろいろ出る可能性があります。最悪呼吸困難などになる可能性はあります。ただし、これも検査体制を考えれば高濃度の混入がされている状況にはなく、心配はないと考えられるでしょう」

 いずれにせよ現時点でわかるのは、MA米については安全性の検査はなされているということ。MA米に危険性があっても1回食べて即影響ということはなく、また検査体制を考えると健康被害が出るほどの悪影響は考えずらいということ。ただし、気になるのはMA米以外でも外国産米の緊急輸入が検討されていること。こちらもMA米同様の検査体制が敷かれることになるのかも含め、続報を待ちたいところ。

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  • この事態を招いた農水族に一番の責任がある。
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