
岡山県玉野市番田地区特産のサツマイモ「番田芋」。水はけのよい砂地で育つため、甘みが強いのが特徴だ。そんな番田芋の産地維持を目指す岡山商科大経営学部生の取り組みが成果を上げている。番田芋の歴史やおいしさを発信するほか、生産者や地元企業と共同で菓子の新商品を開発、駅の土産物店やイベントでの販売も好調という。
番田芋は、瀬戸内海に面した番田地区で栽培されるサツマイモの総称。紅はるかや黄金千貫、紫芋のパープルスイートロードなどの品種が多い。
生産者の高齢化と後継者不足が深刻で、地元企業などは「番田芋プロジェクト」を立ち上げ、産地維持に向けた方策を探っていたところに、市と連携協定を結んでいた同大の学生有志が2023年度から合流。ブランド力を高める新商品開発に乗り出した。
初年度には製菓会社などと焼き菓子・フロランタンを開発。瀬戸内地域のJR駅で販売される新しい土産物のコンテスト「せとうちおみやげグランプリ」で最高賞のグランプリを獲得した。
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24年度にはどら焼きを発売。米粉を使ったもちもちの生地に、ペースト状の芋を練り込んだあんこを合わせた。
魅力発信のため、より多くの学生に参加してもらおうとサークルを立ち上げた。約30人が参加し、イベントの場所や客層に応じてポスターを作り、積極的に来場者に声をかけるなどの販売戦略を立てて実行。あるイベントでは2時間でどら焼き100個を完売させるなど手応えを感じているという。
一連の取り組みは、学生の地域活性化活動を表彰する「第5回学生地域づくり・交流大賞」(全国農協観光協会主催)の優秀賞を受賞した。サークル代表の経営学部4年平井脩太さん(21)は「東京でのプレゼンで全国に番田芋をPRできた。今後はSNSでの発信にも力を入れていきたい」とする。
学生たちは芋の植え付けや収穫も体験しており、秋以降、地元の子どもたちにおいしさを知ってもらうため、玉野市の給食センターと連携し給食のメニューに加えてもらう事業も計画中だ。平井さんは「甘みの強い番田芋は一度食べたらファンになるはず。特産品の魅力を多くの人に伝えたい」と話す。
(まいどなニュース/山陽新聞)
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