
パラ陸上の「ジャパンパラ」が7日、宮城県のアスリートパーク仙台で開幕。今年11月に東京で開催されるデフリンピック日本代表・佐々木琢磨(31、仙台大TC)が男子100m(聴覚障がい)に出場し11秒12をマーク、日本代表エースとしての走りをみせ優勝した。
【一覧】9月13日開幕『東京2025世界陸上』日程&出場選手
国内トップレベルのパラスポーツ大会「ジャパンパラ」は、身体障がい、知的障がい、聴覚障がいの3つに分かれて行われる。佐々木が出場した聴覚障がいのクラスでは、公平を期すために、競技場内では補聴器を外さなくてはならないというルールがある。選手たちはスタート音が聞こえないため、光の合図で知らせる装置「スタートランプ」を使用する。
男子100m(聴覚障がい)は、スタートランプの不具合からスタート開始時間が25分遅れて始まった。佐々木はスタートから勢いよく飛び出すと、そのままトップを譲ることなくフィニッシュ。タイムは自己ベストの10秒59には及ばなかったが、「今大会は11月のデフリンピックに向け、厳しい練習を積んで体に疲労がある中でのレース。本番までの中間確認の意味で出場したレースで良い感覚はつかめた」と、手応えを感じている様子。デフリンピック本番まであと5か月。佐々木は「デフリンピックに出る以上は金メダルを獲得したい」と意気込んだ。8日は、東京2025デフリンピックでも出場が決まっている200mに出場する。
佐々木は2歳の時に原因不明の内耳性難聴と診断された。中学から陸上競技を始め、仙台大学在学中の2013年に初めてデフリンピックに出場。以降、3大会連続出場を果たし、22年のカシアス・ド・スル大会(ブラジル)では、100mで悲願の金メダルを獲得。オリンピック™でもパラリンピックでも日本人が誰も成し得たことのない偉業を達成した。
|
|
■デフリンピックとは「デフ+オリンピック」。デフとは英語で「耳が聞こえない」という意味で、聴覚障がいのあるアスリートの国際的なスポーツ大会のこと。第1回は1924年にフランスで行われ、今年11月15日から行われる東京大会は100周年の記念すべき大会で、日本では初開催となる。駒沢競技場を中心に21競技が行われ、70〜80の国と地域から約3000人の選手が参加する。