大泉一貫・宮城大学名誉教授(本人提供) 農業経営学が専門の大泉一貫宮城大学名誉教授は7日までにインタビューに応じ、事実上の「減反」とされる生産調整の見直しは国民的な世論になりつつあるとの認識を示した。主なやりとりは次の通り。
―コメの安定供給に関する閣僚会議では、生産調整の見直しも議論される見通しだ。
米価の高騰が生産調整に起因しているのは、農政に関心のない国民もうすうす感じ取っている。生産調整を廃止し、増産に踏み切らないといけないというのは、国民的な世論になりつつあり、これを議論することは大切だ。コメの価格を下げることが緊急対策だとすれば、二の矢、三の矢の準備も必要だ。
―生産調整についてどう考えるか。
生産調整は廃止すべきだ。稲作産業を競争力のある成長産業にしなければいけない。そのためにコメは自由に作らせることが大事だ。米価を維持するためにぎりぎりの生産調整政策を続けると、コメ産業が縮小する。余裕のある需給管理にしていったほうがいい。
―コメ流通の可視化もテーマだ。
(農家と消費者の)間にいろんな人たちが入ることによって、消費者のニーズが(流通の)川上の農家に伝わらない。流通改革が必要だ。ただ、ステークホルダー(利害関係者)がいっぱいいて、実際には難しい。
―随意契約による安価な備蓄米放出で二極化したコメの価格はどうなるか。
需給にまだ不足感があるが、市場の期待に働き掛けて価格を下げることも可能だ。これが効き始めている。(5キロ)4000円台で売られている銘柄米の販売が鈍り、事業者の判断次第で価格が少し下がってくる可能性がある。