スマホを使えば有線LANをWi-Fi化できる 旅先のホテルでインターネットを使う場合、Wi-Fiでホテル指定のSSIDを選びパスワードを入れて接続、というパターンが多いだろう。部屋番号と名前でログインするホテルも増えてきた。ところが、パスワードも何も必要なく、フリーでアクセスできるWi-Fiを提供しているホテルもある。これを使うのは、セキュリティー的にちょっと怖い。海外のホテルともなればなおさらだ。ただ幸いなことに、そういうホテルであっても有線LANのジャックがあって、有線でもインターネットが使えることがある。怪しいWi-Fiを使うより、有線でつないだ方が安心度合いは高まる。
その他の画像はこちら Wi-Fiを使いたい。しかしホテルが提供するWi-Fiは怪しくて使いたくない。幸い有線LANのジャックは来ている。そんな場合には、超小型のポータブルWi-Fiルーターを使う手がある。例えばエレコムの「WRH-300BK3-S」やバッファローの「WMR-433W2」など。有線LANを独自に無線化できる。実は、スマートフォン(スマホ)と有線LANアダプターを組み合わせても、同様のことができる。 用意するのは、有線LANをスマホにつなげるUSB変換アダプターとLANケーブル、そしてAndroidスマホだ。
まずアダプター経由で、スマホを有線LANに接続する。たとえば、Google Pixel 6aの場合。変換アダプターを介して有線LANに接続すると、自動的に有線でインターネットにつながる。あとは、「アクセスポイント」モードをONにして、Wi-Fiテザリングができる状態にすれば、有線で接続したインターネット回線をWi-Fiで飛ばせる。有線LANにPCを1台接続するだけなら、有線LANアダプタを直接PCにつなげば済む話。ただ、スマホもタブレットもと、複数の機器を接続したい場合は、やはりWi-Fiのほうが便利だ。こうした工夫で、ホテルのインターネット回線を安全、快適に利用できるようになる。
有線LAN変換アダプターは、充電ジャックを備えているものを選ぶ。有線LANに接続しながら同時に充電もできるからだ。スマホをポータブルWi-Fiルーター代わりに使うとなれば、常時つなぎっぱなしにしておくことになる。その際にも充電に困らない。また、使用するスマホもメインのスマホではなく、使い古しでも活用できる。このような、ちょっとしたサブ用途で活躍することもあるので、旅行や出張では、一旦は退役したものも含め複数のスマホを持参すると、何かと役に立つだろう。
ただし、旅先が中国本土なら要注意だ。政府が行っている通信制限、いわゆるグレートファイヤーウォールの影響で、インターネット自体の利用に制限がかかっている。まずGoogleのサービスは、Gmail、Googleマップ、YouTubeなど含め全般に利用できない。ほかにも、Amazon、AbemaTV、Yahoo検索、Facebook、LINE、X、Instagram、ニコニコ動画、楽天、WhatsApp、Telegram、ChatGPTなどなど、多くのサービスが利用できない。ほとんどのホテルのインターネット回線も、このグレートファイヤーウォールの制限がかかっている。中国本土ではホテルが提供するインターネット回線自体、あまり有用ではない。
ちなみに、中国本土以外でも使えるSIMをセットしたスマホを使えば、グレートファイヤーウォールの制限から逃れることができる。中国本土に加え、香港やマカオ、台湾などでも利用できるSIMを購入して、スマホにセットして利用する。物理SIMでもeSIMでも構わない。スマホのWi-Fiテザリング機能を使えば、複数の機器から、制限なくインターネットを利用できるようになる。SIM購入費用がそれなりにかかってしまうのが難点だが、いつも使っているサービスが使えないよりはマシだ。
台湾や香港、マカオでは、グレートファイヤーウォールの制限がない。その他、多くの国や地域ではホテルの回線は普通にインターネットに接続できる。使い古しなら予備のスマホは無料。有線LANアダプタは2000円前後。LANケーブルは数百円だ。それほど荷物にもならない。有線LAN接続セットを、旅のお供に加えておくのがオススメだ。(BCN・道越一郎)