だらだらと顔の汗が止まらない——。蒸し暑い日が増えてきた6月、首や背中にまで流れ落ちる滝のような汗をかくなら、更年期の“ホットフラッシュ”かもしれない。
「夏にホットフラッシュがひどくなる女性は多いです。暑くて汗をかきやすいうえに、冷房のきいた室内と日差しの強い屋外との温度差が大きくなって自律神経が乱れやすい。女性ホルモンが減少する更年期は、ただでさえ自律神経が不安定な状態です」
そう話すのは、婦人科の専門医である成城松村クリニック院長の松村圭子先生だ。“ホットフラッシュ”とは、更年期障害の代表的な症状の一つ。女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することで自律神経が乱れ、上半身ののぼせ、ほてり、発汗などが突如起こる。つらい症状に悩む人も多い。
「自律神経は体温調整をコントロールしており、暑いときは血管を開いて熱を逃がし、寒いときは収縮させる働きがあります。この調整が乱れ、急に血管が開くという不具合が起きると、前触れもない発汗を引き起こすのです」
とはいっても、30度を超える猛暑でだらだらと汗をかくことは珍しくない。ホットフラッシュと通常の発汗は、いったい何が違うのだろうか。
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■突然尋常じゃない汗をかき、5分以内で収まる
「突然、カーっとのぼせたり、服が濡れるほど汗が吹き出たりするのがホットフラッシュの特徴です。それも顔や胸、背中など上半身に偏っていることが多いですね。そして個人差はありますが、5分程度で次第におさまります」
あまりの火照りに「熱があるのではないか」という不安を覚える患者も多いというが——。
「熱があるわけではありません。気化熱で体温を下げようとして起こる通常の発汗とはメカニズムが違い、体温調節がうまくいかないために起こるものです。外の気温も関係なく、冬場でも、涼しい場所にいても起こります。誰も汗をかいていないのに、自分だけ暑く感じて汗が止まらない……という状況は、まさにホットフラッシュの典型的な症状ですね」
松村先生の更年期外来を受診する患者も、急な症状に困る女性が少なくないという。
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「診察中に、突然ホットフラッシュが起きた患者さんもいました。顔からボトボト汗が吹き出て、しずくがいくつも頬を流れるくらい大量で止まらないんです。数分間のうちに汗まみれになってしまいました。そのくらい本当に急に起こります。予測がつかないため、常に不安があって、つらく感じる人もいいます」
ホットフラッシュが1日の中で何度も起こる人から、感じたことがなかったり数カ月に1回だけだったりと差も大きい。これまでホットフラッシュを経験していなくても、60歳以降に症状が表れるケースもある。
「症状の現れ方はさまざまで、個人差も大きいんです。ほてりを軽く自覚する程度の人もいれば、ひとたび症状が出ると着替えが必要なほど汗だくになる女性もいます。突然始まり、いつ終わるのかも分からないのが難しいところ。まれに10年ほど続く女性もいますが、一般的には2〜5年で終わることが多いです」
更年期の女性の6割程度が経験するというホットフラッシュ。どのように付き合っていけばよいのだろうか。
「症状の重い患者さんは、着替えを持ち歩いて対処しています。通気性の良い服装や速乾シャツを選んでいるとも聞きます。汗拭きシートでさっぱりすると、気持ちも落ち着くはずです。首元を冷やすグッズや冷感スプレーなど快適に過ごせるグッズを取り入れるのもおすすめです」
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さらに、症状を悪化させないために、自律神経を乱さないように生活リズムを整えることも大切なようだ。暑い夏を目前にして、対策グッズを準備しておくに越したことはない。突然のホットフラッシュも慌てず、上手に乗り越えていこう。
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