最高裁=東京都千代田区(AFP時事) 新型コロナウイルス対策の給付金支給対象から性風俗業を除外した国の規定が法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして、関西地方のデリバリーヘルス業者が国に給付金の支払いなどを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(宮川美津子裁判長)は16日、規定は合憲との判断を示し、業者側の上告を棄却した。業者側敗訴とした一、二審判決が確定した。
裁判官5人中4人の多数意見。宮川裁判長は「違憲」とする反対意見を述べた。
一審東京地裁は2022年6月、除外は差別に当たらないなどとして、業者側の請求を棄却。二審東京高裁も23年10月、同様の判断を示した。
同小法廷は業者について「顧客の指定する場所に出向いて接客する業務であり、従業員の尊厳を害する恐れを否定できない」と指摘。「国が公費を支出してまで事業の継続を支えることは相当でないと判断し、給付対象から除外することが不合理だとは言えない」と結論付けた。
一方、宮川裁判長は「給付金の趣旨や目的からは、対象から性風俗業者を除くことが合理的だとする根拠は見当たらない」として、審理を差し戻すべきだと述べた。
判決後に記者会見した業者の女性は「多数意見が人権を守るものとは思えない。人の尊厳を害するのは判決の方ではないか」と批判した。