経団連副会長で日米経済協議会会長の澤田純氏(NTT会長)=13日、ニューヨーク 【ニューヨーク時事】経団連副会長で日米経済協議会会長の澤田純氏(NTT会長)は時事通信社のインタビューに応じ、トランプ米政権が打ち出した高関税政策の継続を前提に、日本も自由貿易と「自国ファースト」を両立させる必要があるとの見方を示した。米国に対しては、半導体など日本が強みを持つ先端技術を交渉材料に、より自立した形での連携を提唱した。
インタビューは13日にニューヨークで行われた。澤田氏は米国の保護主義的な貿易政策について、現政権以降も共和党が与党であり続ければ「絶対と言っていいほど続く」と指摘。さらに、2028年の次期大統領選で民主党に政権交代したとしても、「政策への国民の支持が高ければ、変えないことになる」と見通しを示した。
米国に合わせて欧州連合(EU)や中国の貿易政策の方向性も変化するため、世界経済秩序は「自由貿易もあり、関税もありという形に変わる」と説明。経団連内でも「元に戻らない前提で対処した方がいい」との意見が強まっていると述べた。
日本は半導体や高速通信のほか、産業向けに特化した人工知能(AI)といった先端技術を対米交渉のてこに活用できるとみる。日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収は「技術を持つ日鉄と、米市場のサプライチェーン(供給網)や販路があるUSスチールの非常に良い組み合わせ」と評価。自立した日米連携の事例になると話した。