サッカー日本代表、1年後のワールドカップ本番に向けて、セルジオ越後「課題はワントップ」「長友を呼ぶのは気の毒」

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2025年06月20日 07:30  webスポルティーバ

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セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(12)

 ワールドカップ最終予選を終え、来年の本番に向けまもなく再始動するサッカー日本代表。7月のE−1選手権、9月、10月、11月の親善試合と強化スケジュールが決まっているが、そこでクリアすべき課題とは? おなじみのセルジオ越後氏に聞いた。

【メキシコ戦、パラグアイ戦はいいシミュレーションになる】

 早いもので、来年のワールドカップ本番まで1年を切った。日本代表の年内の強化スケジュールを見ると、7月にE−1選手権(韓国開催。香港、中国、韓国の3チームと対戦)、9月にアメリカ遠征(メキシコ、アメリカと対戦)、さらに国内での親善試合が10月(パラグアイ、未定)と11月(2試合とも未定)に2試合ずつ、計7試合が予定されている。

 まずE−1選手権は、FIFA(国際サッカー連盟)の国際マッチデーではないため、国内組中心のBチーム的な編成で臨むことになる。ホームの韓国はともかく、香港、中国とは力の差があり、そこで大活躍したとしても、代表の主力、常連とはいえない選手たちにとって大きなアピールにはならない。ワールドカップ最終予選を戦った"いつものメンバー"たちの座を脅かすのは難しい。

 とはいえ、せっかく地上波の中継もあるわけで、招集された若手には「俺もいるんだぞ」というプレーを見せてほしい。6月の最終予選2連戦に招集されたFW細谷真大(柏レイソル)、DF鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)、DF高井幸大(川崎フロンターレ)、MF俵積田晃太(FC東京)、MF佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)あたりには期待したい。

 特に細谷だね。今の日本代表において絶対的な存在がいないポジションがワントップ。細谷は力強くてスピードもあって、いいパフォーマンスを見せているんだけど、肝心のゴール数がなかなか増えない。そんな、これまでの殻を破るような活躍ができれば、まだまだチャンスはあると思う。逆にここでも結果を出せないようなら、もう「代表は無理」と言われても仕方ない。

 9月のアメリカ遠征は、来年の本番に向けてのいいシミュレーションになるのはもちろん、メキシコは歯ごたえのある、いい相手だ。ワールドカップでベスト8を狙える力を持つ国で、過去の対戦成績を見ても日本の分が悪い(1勝4敗)。森保監督体制でも2020年に親善試合で対戦し、0−2で負けている。しかも今回はアメリカ開催なので、彼らにとってはホームみたいなもの。そういう状況でどんな試合ができるか。日本にとっては、自分たちの立ち位置がわかる貴重な機会だ。

 また、10月の親善試合で戦うパラグアイも悪くない相手だね。南米予選では9月の2試合を残して、通過はほぼ確実な状況。パラグアイといえば、2010年南アフリカワールドカップでベスト8進出をかけて戦い、PK戦の末に敗れた苦い思い出がある。今回の南米予選でも16試合で10失点と堅守は相変わらずだ。

 前回カタールワールドカップで対戦したコスタリカ、今回の最終予選で対戦したオーストラリアと、日本は守備を固めたチーム相手に攻撃が手詰まりになることが多い。その意味で、9月のメキシコ戦に続き、本番に向けてのいいシミュレーションになるだろう。

 あとは、交渉中と言われているアルゼンチン、ブラジル、いずれかとの対戦が実現するかどうか。強化としてはもちろん、話題性も文句なし。日本サッカー協会は引き続きマッチメイクをがんばってほしい。

【勝ち進むためには得点を取らないといけない】

 こうして試合を重ねるなかで、"いつものメンバー"にどれだけ上積みができるか、どれだけ新戦力が出てくるか。6月の最終予選2連戦では右サイドの平河悠(ブリストル)がアピールに成功したけど、彼のような選手がひとりでも多く出ることで、チーム全体の底上げにつながる。

 個人的に注目しているポジションは前述のワントップ。日本の守備は、誰が出てもある程度の計算は立つ。問題は攻撃で、結局、大きな大会で勝ち進むためには得点を取らないといけない。強豪と言われるチームにはたいていエースがいる。上田綺世(フェイエノールト)、町野修斗(キール)、前田大然(セルティック)、大橋祐紀(ブラックバーン)、小川航基(NEC)、細谷......と候補はたくさんいるので、誰かが突き抜けてほしいね。

 まあ、ワントップの人材不足は今に始まったことではないし、他の国を見ても苦労しているところが多いから大変だとは思うんだけど、僕も今年で80歳になるから、そろそろ頼むよという感じだ(笑)。

 最後に長友佑都(FC東京)について触れておきたい。ワールドカップ最終予選ではずっと招集されていたけど、出番は一度もなく、消化試合となった6月の2試合もベンチ外。そこでも使わないのなら、いつ使うのかという話で、森保一監督が純粋な戦力としては考えていないことは明らかだ。

 それでも本人はチームのためになるのであればと、文句のひとつも言わずに盛り上げてくれているけど、これまで長年にわたって日本代表に尽くしてきて、また、あれだけ海外ですばらしいキャリアを積み重ねてきた選手に対する扱いとして、どうなのかと思う。「ブラボー!」と言わせて喜ぶだけでいいのか。とても気の毒だ。試合で使う気がないなら、最初からコーチとして呼ぶべきだし、そういう声がまったく聞こえてこないのは不思議だね。

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