
小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」。
特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。ただただ、セックスの、話を、していきます。
「フェラは、とんでもなく気持ちいい“2兆点”の人が稀にいる」と語るラランド・ニシダさん
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【No.06】
――前回、前々回に引き続き、Jさん(30代、男性)と「男性とAVの関係性」について話していきます。
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Jさん 僕らがAVを見てセックスを学んでいることの裏返しで、AVで描かれていないものって僕たちできないなって話になるんですけど。
ニシダ はいはい。
Jさん 少し前なんですけど、相手にフェラしてもらったときに、歯がけっこう当たったんですね。
「痛いな」って思ったんですけど言いづらくて言えなくて。しかも、なかなか勃たなかったから、ちょっと長くしてもらって。
ニシダ なるほど。
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Jさん その後もその人とちょくちょく体を重ねまして。そしたら、ある日ちんちんの内側に白いのがついてることに気付いたんです。あ、自分、仮性包茎なんですけど。
ニシダ はい。
Jさん 性病かなって思って病院に行って見てもらったら「亀頭包皮炎(きとうほうひえん)ですね」って。
ニシダ 亀頭包皮炎。
Jさん それがかゆいし痛いしで。とりあえずステロイドの塗り薬を処方してもらって。
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ニシダ ちんちんにステロイドって塗るんだ。
Jさん 塗るんです。
ニシダ へえ、こえ〜。
Jさん そのときに医者に言われたのは「包茎であることは関係ないので包茎手術しないでくださいね」って。
ニシダ そうなんだ。原因はフェラだったんですか?
Jさん おそらく歯で傷がついて細菌が入ったんじゃないかと。菌自体は自分の体の中にあるものらしいんですけどね。それで炎症を起こして、みたいな。
きっとその人が不慣れだったんだと思います。ほかの人は気持ちいなって思うことが多かったので。
ニシダ 今思ったんですけど、女性側にこそ学ぶ機会ってないのかもしれないですね。フェラのやり方とか。
Jさん それ僕も気になって、大学時代の先輩にかっこいいエロ姉さん系の人がいて、その人に聞いたんですけど。
ニシダ なんかエロい知り合い多いな。
Jさん どうやらガールズトークでしっかりそのあたりも話してるらしいです。女性たちは。
ニシダ 口伝なの?
Jさん もちろん人によると思いますけど。バックのときの気持ちいい高さとか体勢とかを、お泊り会とかしたときに話し合ってるって言ってました。
ニシダ へえ。男って逆にそういうエロ話はしないっすもんね。じゃあ女性は横のつながりで情報交換してるのか。
Jさん たぶん......?
ニシダ 僕はなんか、元カレとかの感じを引き継いでいるんだろうなって思うときがけっこう多くて。
元カレが「とにかくこれして!」って言ったんでしょうね、みたいなのがけっこう女性には染みついている気がする。男性側もそうかもしれないけど。
Jさん 何で思ったか当てたいですね......。正常位のとき乳首いじってくる、とかですか?
ニシダ ありますね〜、それ(笑)。
Jさん 教えてもらったんだなってなりますよね(笑)。
ニシダ 僕が思ったのは、フェラのときに、両手で、玉をこうキュッと包む人。お茶を飲むように包んでフェラする人。
Jさん お茶のように(笑)。
ニシダ 元カレがそれ好きだったんでしょうねって思っちゃう。
だからフェラでめっちゃ痛かった人も、これまでの相手が全員言い出せなかったという可能性もあるけど、前の人はそれでめっちゃ気持ちがよかったのかもしれない。
思えばAVにも映ってないですもんね。「それ痛いよ」っていうシーン。
Jさん 確かに。
ニシダ そこらへんも見せてほしいですよね、正直。「それ痛いよ」っていうところ。
全部とは言わないけど、全女優1作でいいから本音のやつを1回言ってくれたらいいのになって思う。本当はこうがいいっていう。場所とかも含めて。
Jさん 神企画生まれましたね。その通りですね。もしかしたら男の理想ばっかりAVって反映しちゃってるかもしれないから。
ニシダ そう。一般的なAVではこういう手マンをしてますけれども、私はこっちのほうがいいんです、とか。
Jさん 僕たち的にもそっちのほうが見たいかも。
ニシダ 見たいですよね。もう設定が入ったAVの設定を飲み込めるほど子供じゃないじゃないですか。「女スパイだー♡」って思わないじゃないですか。
Jさん そうですね(笑)。
ニシダ ってなったら本音が見れるほうがいいのかなって気がする。そもそもAVってどこまでが演出でどこまでがリアルかわからないっていうのもあるからこそ、100%演出じゃない何かが見れるんだったら見たい。
Jさん 確かに。
ニシダ ドラマとか映画とか見てても、役者って1回もセリフを噛まないじゃないですか。でも、よく考えたらそれってめっちゃ不自然だなって思ってて。
実際はそんなわけないし。それに近い違和感がAVを見ているときにもあって、完璧を作りすぎてありえないなって思っちゃう。
Jさん なるほど。
ニシダ だから「痛い痛い痛い痛い!」とか「違う違う違う違う!」って言ってほしい。
Jさん 実際のセックスでも言ったほうがいいんでしょうね、痛いときとかは。我慢して包皮炎になっちゃうほうも、気持ちいいだろうと思ってフェラしているほうもどっちも損してますもんね。
ニシダ そう。これは完全に偏見ですけど、男性は女性とセックスするときに、相手に痛みがあるんじゃないかっていう恐怖がある人が多い気がしていて。逆に女性から「痛くない?」って聞かれたことなくないですか?
Jさん ないですね。
ニシダ ちんちんに痛覚がないと思ってんの?みたいな手コキありますしね、ときどき。
Jさん もしかして「シコシコ」って擬音が悪いんですかね。あれのせいで「シコシコするもんだ」っていうイメージになっちゃってるのかも。
ニシダ オノマトペに踊らされているかもしれないのか。女性側にも男性側にも勘違いがあるんだろうな、セックスにおいて。
Jさん 包皮炎になって以降は、少し痛いなって思ったときは「ぺろぺろして」って言うようにしてます。
そう言うと、舌を使って舐めるってことだと認識してもらえて、キャンディのような舐め方に切り替えてくれるんですよね。
ニシダ 「ぺろぺろして」(笑)。でも、それ賢いですね。逆にオノマトペをうまく使ってコントロールするんだ。オノマトペなら相手を傷つけずに伝えられる気がしますもんね。
Jさん ニシダさんはフェラに対してどんなイメージを持っていますか?
ニシダ 思えば、大体まあまあ気持ちいいというか、悪い気はしないというか、70〜80点ぐらいの狭い範囲にほとんどの経験があるんですけど、たまに2兆点!みたいな人がいたりするんですよね。ごく稀に。
だから僕のフェラに対するイメージは「とんでもなく気持ちいい人がたまにいたりするな」です。
Jさん 何が違うんですかね。手とか舌の使い方なんですかね。
ニシダ うーん。なんか俺のちんちんとその人の顎の骨格みたいなのがあってる感じ?
Jさん へえ! 体の相性っていうと性器と性器の相性って思ってしまうけど、フェラにおいても相性があるのかもしれないってことか。
ニシダ そんな気がします。
Jさん さっきのニシダさんの「悪い気はしない」ってめっちゃありますよね。フェラってまず見た目がエロいというか。
ニシダ エッチですよね。視覚的な楽しみ方も大きいんだよな。......俺らってフェラだけでこんなに話せるんですね。
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■ニシダ(ラランド)
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著書に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)
撮影/鈴木大喜