自宅の庭に作った巨大ビオトープを観察していたら、ある生き物が大繫殖していた……!? 日々やって来る生き物の数が増え、変化し続けるビオトープの様子を収めた動画がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で20万回以上再生されています。
動画を投稿したのは、YouTubeチャンネル「ちゃんねる鰐」の鰐(わに)さん。深谷爬虫(はちゅう)類館(埼玉県深谷市)の館長を務めており、飼育している生き物たちの様子や野外での生物採集の様子を公開しています。
今回は春を迎えた自宅の巨大ビオトープを観察していたところ、ある生き物が大繁殖していたようで……?
鰐さん宅の庭には2024年の夏ごろに作った全長7メートルほどの巨大ビオトープと、全長3メートルのひょうたん池を地面に埋めて作ったビオトープがあります。1カ月ほど前に2つのビオトープにどんな生き物がいるのか調査しましたが、今回は巨大ビオトープの様子を再び見ていくようです。
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この1カ月ほどの変化としては、ビオトープの中に入れてある土から植物が生えてくるようになったとのこと。鰐さんによるとこれらの植物は水生昆虫が休む場所になったりトンボが羽化する場所になったりと、さまざまな生き物の生活に役立つそうです。
その他には、藻の一種であるアオミドロが増殖するようになりました。アオミドロは増えると見栄えは悪いものの、生き物の隠れ家になる可能性があるのだといいます。
しかし、草食性の魚がいればアオミドロを食べて減らしてくれますが、川や池などの水域から隔たれた、魚がいないこのビオトープではアオミドロの増殖が止まらない可能性もあるのだとか。
とはいえビオトープには極力手を加えないようにしているため、しばらくは放置して様子を見るつもりなのだそうです。アオミドロが死んでヘドロとなり水質が悪くなるようであれば、対策を考えるつもりでいるそうですよ。
そんな話をしていると、交尾をしているミズカマキリを発見。最初はオスがメスの体を押さえ込んでいましたが、メスは嫌がっているのか逃げてしまいました。その後、オスがメスを追いかけていましたが、この日は交尾が成功することはなかったそうです。
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また、水面におしりをちょんちょんと差し込み産卵しているような動きをしている、大きな羽根の生えた昆虫を発見しました。こちらはガガンボの仲間で、成虫は空で暮らしていますが幼虫は水の中で暮らす水生昆虫です。
ガガンボの次は、繁殖活動をしているコガムシや、ミズカマキリの赤ちゃんを発見。赤ちゃんがアオミドロの上で休んでいたり脱皮殻が落ちていたりするところを見ると、このビオトープではミズカマキリが着実に増えているようです。
さらによく見てみると、あちこちにミズカマキリの赤ちゃんの姿がありました。体のサイズが違う赤ちゃんがいるということは、複数のペアが何回も卵を産んでいるものと考えてよさそうです。
ミズカマキリはタガメなどと同じ、水生の肉食のカメムシの仲間です。大人になると昆虫や魚などを捕食しますが、体が小さいうちは自分よりも小さな水生昆虫を捕食しているとのこと。ストロー状になっている口を使い、獲物の体液を吸うような形なのだといいます。
さらに国内外来種・ヌマガエルの姿を発見しました。ヌマガエルは東海地方より西の方では在来生物ですが、関東にいる個体については国内移入種になるのだそうです。
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なおヌマガエルは在来種のツチガエルと似ていて、上から見るとなかなか見分けがつかないのだとか。ただし体をひっくり返したとき、おなかに模様などがなく真っ白であればヌマガエル、おなかが白くなければツチガエルだと見分けることができるそうですよ。
ここで2024年に続いてコシマゲンゴロウを発見したと思ったら、今までずっと来てほしいと思っていたという水生の肉食カメムシ・タイコウチを発見。2025年に初めてやって来たというタイコウチはまだ絶滅危惧種などではありませんが、水田の減少や農薬の影響で確実に数を減らしているそうです。
2024年はミズカマキリが来て2025年はミズカマキリが繁殖し、さらにタイコウチまで来てくれた。ビオトープについて年々進歩している感じがして楽しいと話しつつ、これからも経過観察を続けて動画にしていくと意気込む鰐さんなのでした。
この動画のコメント欄には「感動しました」「タイコウチはアツいですね。そのうちタガメも来て欲しいですね〜」「ビックリですね。 素晴らしいビオトープになりましたね」「やばい、夢がありますね!」「鰐さんのビオトープは進化し続けるところが魅力」といった声が寄せられています。
鰐さんは、生き物に関する情報をYouTubeチャンネル「ちゃんねる鰐」やX(@wanivspbao)で発信中です。
動画提供:YouTubeチャンネル「ちゃんねる鰐」
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