豪ワイン農園、気候変動に知恵=「日焼け止め」や「大根」活用

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2025年06月22日 08:02  時事通信社

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時事通信社

日焼け止めが散布されたブドウ=オーストラリア東部ハンターバレー(リズ・ライリーさん提供・時事)
 【ハンターバレー(オーストラリア東部)時事】オーストラリアのワイン農園が気候変動対策に知恵を絞っている。収穫前のブドウを猛暑から守るために専用の「日焼け止め」を散布したり、干ばつや豪雨で弱った土壌の再生のため下草として大根を植えたりと、独創的な手段を用いている。

 最大都市シドニーの北方約250キロにある丘陵地帯ハンターバレーは豪有数のワイン産地だ。主にシャルドネ種の白ワインを醸造する農園「スカーボローワイン」は、粘土由来のカオリナイトを主成分とするブドウの日焼け止めを開発。夏にブドウの木全体をコーティングするように散布し、酷暑から保護している。

 気温が35度を超えると光合成が衰え、ブドウの成熟は遅くなるが、日焼け止めを使うと木の温度上昇を抑え、計画通りに成熟を進められるという。同園のリズ・ライリーさんは「日焼けしたブドウの実はうまく搾れず、清らかな味を出しにくくなるが、それを防げる」と味覚上の利点も強調する。リンゴ栽培で日焼け止めが使われていたのを参考にし、約10年間の試用を経て実用化した。

 ブドウ畑の土壌の質の維持も課題だ。ハンターバレーでも近年、交互に訪れる干ばつと豪雨で土が打撃を受けている。そこでライリーさんはブドウの木の列の間で野菜を育て、土の湿度を保つとともに、昆虫や微生物のすみかをつくって土を活性化させている。特に大根は地中深くに伸びるため、効果が大きいことが分かった。

 ライリーさんは「気候は急速に変化しており、時に破壊的な影響をもたらす。技を駆使してブドウ栽培を持続可能にしていく必要がある」と話している。 

ブドウの木に日焼け止めを散布する作業=オーストラリア東部ハンターバレー(リズ・ライリーさん提供・時事)
ブドウの木に日焼け止めを散布する作業=オーストラリア東部ハンターバレー(リズ・ライリーさん提供・時事)


ブドウ畑で大根の植え付けについて説明するリズ・ライリーさん(左)=13日、オーストラリア東部ハンターバレー
ブドウ畑で大根の植え付けについて説明するリズ・ライリーさん(左)=13日、オーストラリア東部ハンターバレー

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