【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【ミルリーフ】
1970年代のヨーロッパを代表する名馬の一頭。英ダービー、凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなど英仏で14戦12勝(2着2回)と、ほぼパーフェクトな成績を残しました。
1960年代の半ばから、北米産馬がヨーロッパの大レースを席巻していきましたが、ミルリーフはニジンスキー、サーアイヴァー、ロベルト、ダーリア、アレフランスなどと並ぶその中心的な存在です。
父はナスルーラ系のスピード型種牡馬ネヴァーベンド。ヨーロッパのクラシックディスタンスでは適性的に心もとない血ですが、母の父プリンスキロからスタミナ、底力、成長力を補いました。
プリンスキロはアイルランド産の名種牡馬。アメリカ血統に不足しがちな要素を伝える名血で、北米のブルードメアサイアーランキングで8回首位に立ちました。この血のおかげでアメリカ血統はグレードアップし、世界の中心に躍り出たといえるでしょう。なかでも「父がナスルーラ系、母の父がプリンスキロ系」という配合からは、ミルリーフの他にセクレタリアト、シアトルスルー、リヴァーマン(ミルリーフと同じネヴァーベンドを父に持つ)、サンサンをはじめ多くの名馬が誕生しています。
ミルリーフは種牡馬としても成功し、英・愛ダービーを連勝したシャーリーハイツをはじめ、アカマス、レファレンスポイント、グリントオブゴールド、ラシュカリなど多くの活躍馬を出し、1978年と1987年の二度、英愛リーディングサイアーの座につきました。ナスルーラ系は総じてスピードに特長があるのですが、ミルリーフは芝向きのスタミナタイプでした。
ミルリーフ→シャーリーハイツ→ダルシャーンのラインが父系をつないだものの、現在は世界的に衰退しています。この系統の種牡馬は日本にも大量に輸入され、ミルジョージが1989年に総合リーディングサイアーの座につき、マグニテュードの息子ミホノブルボンが二冠を制覇しました。
母の父にミルリーフを持つラストタイクーンは、名種牡馬キングカメハメハのブルードメアサイアーとなりました。したがって、わが国のサラブレッドはミルリーフの血をかなりの割合で持っています。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「小倉ダ1700mで買うべき種牡馬は?」
ラニ、アメリカンペイトリオット、スマートファルコン、ミッキーアイル、サンダースノーは好成績を残しています。
今週から始まる小倉開催では、土日でダ1700m戦が6レース組まれています。これらの種牡馬を父に持つ馬は要チェックです。