猛スピードであおり運転してきたトラックの“社名”を警察に通報。サングラス姿の運転手の末路は…

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2025年06月25日 09:20  日刊SPA!

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※写真はイメージです
 ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険の『2024年あおり運転実態調査』によれば、あおり運転をされたことがあるドライバーは72.5%であった。2023年の53.5%よりも大幅に上昇し、半年間でも24.1%と多くのドライバーがあおり運転に遭遇していることがわかった。

 今回は、“あおり運転”に巻き込まれながらも、冷静な対応で乗り越えた2人のエピソードを紹介する。

◆子どもを守りたい…その一心で冷静に対応

 西村真理さん(仮名・30代)は、当時3歳の息子を乗せて車を運転している途中、人生で初めて“あおり運転”を受けた。

「その日は、子どもと一緒にイベントに参加するため、車で20分ほどの距離を走っていました。田舎道から国道に合流する際、右後方から大型トラックが近づいてきたのが目に入ったんです」

 合流地点にはまだ十分な距離があり、スムーズに国道に入ることができた。しかしその直後、その大型トラックが猛スピードで迫ってきたという。

「追い越したいのかなと思って道を譲ろうとしたんですが、片側一車線だったので追い越す場所もありません。すぐに、“あ、これ、あおられてる”と気づきました」

 トラックは車間距離を詰め、何度も追突寸前まで接近してきたそうだ。後部座席に座る息子に、万が一のことがあったらと思うと、西村さんは恐怖と怒りで頭が真っ白になった。

「事故でも起きたらどうしようと血の気が引きました。でも、息子を守るために冷静になろうとして、運転手の顔とナンバーを確認したんです。特徴的なサングラス姿だったので、すぐに覚えられました」

 目的地に到着して、すぐに警察に連絡。トラックの特徴やナンバー、車体に書かれていた社名(A社)を伝えたという。

◆田舎の“噂ネットワーク”がドライバーを追い詰めた

 数日後、思いがけないところから“その後の状況”が耳に届いた。

「製造業をしている友人が『会社で配送を頼んでるA社のドライバーが、あおり運転で警察に通報されたらしい』と教えてくれたんです」

 友人によると、その運送会社の社内では、警察からの通報があったことが話題になっていたようだ。

 そして、日時も社名も一致しており、西村さんが遭遇したドライバーで間違いないと判明した。

「私は、他県から引っ越してきたばかりだったので驚きました。地元の人たち特有のネットワークがあって、すぐに“どこの誰か”まで噂が広まったみたいです」

 地域のつながりが濃いと、悪質な運転もすぐに“見える化”される。

「怒りに任せず、冷静に対応することが大切だと実感しました」

◆突然のクラクションと運転手の“中指”

 5月の週末、行楽シーズンまっただなかの高速道路を走っていた高木翔太さん(仮名・30代)。

「渋滞もなく、周囲の車も落ち着いた流れで、本当に気持ちのいいドライブだったんです。高速でこんなに穏やかに走れるのが、珍しいくらいでした」

 しかし、そんな空気が一変したのは、突然「プーーーー!!!」と鳴り響いた後ろからのクラクションだった。

「バックミラーを見たら、白いワゴン車がハイビームをチカチカさせながら、すごい勢いで近づいてきたんです。まるで、左右の車をなぎ倒すように迫ってきました」

 車には明らかに威圧感のある男女2人が乗っていた。追い越す度に窓を開け、怒鳴っていたという。高木さんがその車に並んだときも、大きなクラクションに続き、中指を立てて通り過ぎていった。

「正直、ムカつきましたよ。でも、高速道路だし、挑発に乗ったら危険だと思いました。とにかく冷静に、安全運転を意識しました。内心は、“どこかでバチが当たればいいのに”って思っていましたけどね」

◆ETCゲートでまさかの展開が!

 しばらく走って、料金所のETC専用レーンで事件は起きた。

「まさかと思ったけど、さっきのワゴン車がゲートの前で止まっていたんです。バーが開かなくて、喚いている運転手が見えました」

 高木さんが窓を開けて様子をうかがうと、ワゴン車の運転手は料金所に向かって「なんで開かねぇんだよ!」と怒鳴り声を上げていたという。

「そのとき、“あの車、ETCついてないんだな”って気づいたんです……」

 そこへ係員が登場し、「サポートレーン(ETCが利用できない状態の車両が、誤ってETC専用の料金所に入ってしまった場合に通行するレーン)へ移動してください」と促すも、暴言を吐き続けていた。

 しかし、最終的には渋々従い、ワゴン車はサポートレーンに誘導されていったようだ。

「その姿を見て、“ああ、やっぱり因果応報ってあるんだな”とちょっとスカッとしましたね」

 さらに、出口を抜けて進むと、ワゴン車は路肩に止まっていた。高木さんは、さりげなく左手を挙げて軽くクラクションを鳴らした。

「感謝というか、皮肉も込めて(笑)。そしたら後ろの車も真似して、次々にクラクションを鳴らして通過していくんです。思わず笑ってしまいました」

 そのときワゴン車のなかでは、顔を真っ赤にした男女2人が、睨みつけてくる後続車を無言で見送っていたそうだ。

「挑発されても冷静に、安全第一で対処するのが一番だと再確認しました。高速道路では余裕を失った瞬間が危険ですからね」

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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