武藤絢子さん(仮名・38歳)。深夜バスで片道10時間かけて子供と大阪・関西万博に行った武藤さん。元夫からの養育費の停止が生活に影を落とす物価高や税金・社会保険負担の増加で「中流」と言われた人たちの暮らしぶりが貧民化している。もはや「普通に生きるのもツラい」との声も聞こえるなか、取材班は3700人の中流層にアンケートを実施。裕福ではないが貧しくもなかった“平均的”暮らしは今、どう変わってきているのか?貧民化する「令和の中流」の実態を明らかにした。
◆年収500万円シングルマザーの実態
「先日、仕事にも役立つかもと思い、息子と大阪万博に行ってきました。片道5000円の深夜バスでの0泊3日の弾丸旅行ですが……」
こう話すのは、小学2年生の子を持つシングルマザーの武藤絢子さん(38歳)だ。現在、70代の母親と3人で暮らしながら、ベンチャー企業の役員秘書兼広報担当者として働いている。年収は500万円だが、母親の年金を合わせると世帯年収は600万円弱になる。
◆子供のために自分は一日1食
「何年も年収が上がらないし、3年前に元夫からの養育費の支払いが止まったので生活はカツカツ。
子供にはお腹いっぱい食べさせたいので、自分は一日1食にし、賞味期限切れ間近の商品を売る店で1kg498円の冷凍唐揚げや500g30円のお漬物を買ったりして食費を削ってます。
子供の服やおもちゃはママ友からのもらい物が多い。シンママを公言してると、周りが気を遣ってくれるんです」
◆目下の不安は住宅ローン
目下の不安は住宅ローンの支払いだ。
数年前に都内の中古物件を4000万円で購入し、月9万円のローン返済を行っていたが、昨今の金利上昇で今は10万円に……。
中流シンママの生活は着実に苦しくなっているようだ。
◆3700人調査概要
今回SPA!では世帯年収400万〜700万円未満を「中流」と位置づけ、2人以上世帯で首都圏および大阪・名古屋などの大都市で暮らす30〜50代男女3700人に5月28日から6月3日にかけてアンケートを実施した。その調査対象の主な属性分布は下記のとおり。
子供あり・なし
子供あり 71%
子供なし 29%
働き方
会社員(正社員) 71%
会社員(契約・派遣) 8%
公務員 4%
自営業 7%
専業主婦 10%
世帯年収
400万〜500万円 37%
500万〜600万円 49%
600万〜700万円 14%
◆3700人の肖像
給料が何年も上がらない! 1638人
中流層3700人のほぼ半数が給料が上がっていないと回答した。
取材・文/週刊SPA!編集部
―[[中流貧民]3700人の肖像]―