SBI新生銀行の看板 SBIホールディングス(HD)は25日、国からSBI新生銀行に注入された公的資金の残り約2300億円を7月31日に完済する方針を決めたと発表した。SBIHDが全額を負担する。SBI新生銀は年内に3度目となる東証への上場を目指し、SBIHDの「第4のメガバンク構想」の中核として成長戦略を加速させる。
SBIHDの2025年3月期連結決算では、税引き前利益で銀行事業が証券事業を上回るなどSBI新生銀の収益性が高まっている。完済で経営の自由度が増し、地域金融機関とのさらなる協業が期待できる。すでに取り組んでいる地方企業に対する協調融資なども広がりそうだ。
当初数年内とされた返済が早期に決着した背景には「国民の血税からの借金をお返しする」と公言する北尾吉孝SBIHD会長兼社長の考えがある。SBI新生銀は1月に一部公的資金を返済すると発表し、3月には完済スキームについて国と合意。さらに、NTTとの資本業務提携も決め手となった。
NTTとは条件面で折り合わず、いったん検討を終了したが、その後協議を再開し、5月に合意に至った。第三者割当増資によるNTTからの出資約1100億円に加え、6月の社債発行で1700億円を調達する見込みとなり、完済の道筋が付いた。SBI関係者は「新生銀行の買収時には『返済できるわけがない』と言われたが、有言実行だ」と話した。