
どれだけ真剣に取り組んでも、大人の理不尽な都合によって努力が無にされてしまい、悔しさを経験したことがある方も多いでしょう。漫画家の吉谷光平さんがX(旧Twitter)に投稿した『部下の仕事を潰すクソ上司を殴りに行く話』は、まさにそんな現実に直面した話が描かれ、話題となっています。
【漫画】『部下の仕事を潰すクソ上司を殴りに行く話』…(全編を読む)
物語の主人公は、ショッピングセンターの飲食エリアに『ラーメンロード』を立ち上げる企画の中心人物のゲンです。個人のラーメン店に何度も頭を下げ、誠意を込めて出店交渉を重ねた結果、ようやく出店の了承を得ることに成功します。交渉を通して、お店の人々と心を通わせ、プロジェクトの成功を心から願っていたのでした。
ところが完成直前になったある日、上司である大丸部長から「ラーメンロードの話は白紙になった」と聞かされます。大丸部長は、ゲンの努力やゲンを信用して出店を決めてくれたラーメン店の人たちを裏切り、自分の企画を採用させるための当て馬にしたのです。
多くの人たちの想いや積み重ねを一瞬で無駄にされてしまったゲンは、怒りと悲しみの感情を爆発させて大丸部長に殴りかかろうと迫るのでした。同作の読者からは「許可する、殴ってくれ」「そりゃぶん殴りたくなる気持ち分かる」など、ゲンの気持ちに共感するようなコメントがあがっています。そこで作者の吉谷光平さんに、作品制作の裏側や背景に込めた想いについて聞きました。
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「取引先を潰して一人前」?ビジネスの裏側に潜む冷たさ
ーこの作品を描くうえで、特に意識されたポイントなどがあればお聞かせください。
「取引先を潰して一人前」というのは、実際に僕も何回か色んなシュチュエーションでいわれた言葉です。本当にイヤな言葉ではあるのですが、一方で一理あるなとも思っています。そういう複雑な感じが出せたらなと思って描きました。
あとは、主人公の目線に読者が入り込めるよう、状況説明よりも「心の揺れ」に重点を置いて描いています。ラーメン店とのやりとりなども、結果よりプロセスの中にある気持ちを重視しました。
ー「努力が理不尽に潰される」場面は、読者としても強く共感し、怒りを感じました。あのシーンを描く際に意識された感情や描写の工夫などありましたか?
ゲンはシンプルな怒り、石沢は静かで複雑な怒りを描きたかったです。
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ー現実社会でも、大小問わず似たような理不尽は存在しているように思います。ご自身にも、似たような経験があったりしますでしょうか?
「やっぱなし」みたいな話は何度もありました。でも、そのたびに強くなれたと思っています。そういう時は詰め込めなかったり、実力不足だったりと自分の責任も大きいと思っています。
ーこの後の展開が気になるところですが、一体どうなるのでしょうか?
同作はサイコミでの連載作品『今どきの若いモンは』の234話です。次の話でもキツイ展開が続きますが、ゲンの過去に何があったのか核心に迫っていきます。続きが気になる方は、是非サイコミにて235話を読んでください!
(海川 まこと/漫画収集家)
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