英国競馬の華「ロイヤルアスコット」を回顧 最終日にはサトノレーヴも2着と見せ場

0

2025年06月25日 21:00  netkeiba

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

netkeiba

▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆最終日までもつれたリーディングトレーナー争いも

 2025年のロイヤルアスコットが完結した。まずは、グリーンチャンネルにおける5夜連続での中継をご視聴いただいた皆様に、心からの感謝を申し上げます。5日の間に20以上もの海外レースをお届けするというのは、グリーンチャンネルにとっても筆者にとっても初めての試みで、果たして日本の競馬ファンの皆様にどのように受け止めていただけるか、正直に言って手探りの部分もありました。結果的に、局に寄せられた反響は予想以上に芳しいもので、胸を撫でおろしています。ロイヤルアスコットを、身近な存在として受けとめていただいたことに、深い感銘を抱いています。

 夜の深い時間だったにもかかわらず、ゲストとして東京のスタジオから放送にご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。また、5日連続での夜勤となったスタッフの皆様にも、心からの御礼を申し上げます。

 2025年のロイヤルアスコットは、興行としても大成功だった。5日間の入場人員は、前年比4.8%アップの28万6541人に達した。天候に恵まれたこともあったが、5日間で19もの重賞が組まれた番組の豪華さが、ファンの大きな関心を集めたことは言うまでもない。チャールズ国王、カミラ女王とも5日連続でご臨席になり、場内の雰囲気は最高だった。

 最終日まで目が離せなかったのが、リーディングトレーナー争いだった。4日目が終わった段階で、このタイトルを13回獲っているアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎と、12年と20年に続く3度目のリーディング奪取を狙うジョンとセイディーのゴスデン親子が、いずれも5勝で併走。ちなみに、両厩舎とも2着が3回ずつあり、ここでも全く並んだ状態だった。

 最終日に、オブライエン厩舎は3競走に4頭出し、このうち第1競走のLRチェシェイムS(芝7F)に送りだすモーメンツオブジョイ(牝2、父ジャスティファイ)は2番人気だった。一方のゴスデン厩舎も、3競走に4頭出し、こちらは、いずれも5番人気以下で、情勢はオブライエン勢優位かと思われた。

 最初の出走となったのが、オブライエン厩舎がLRチェシェイムSに送りだしたモーメンツオブジョイで、同馬は3着に敗退。第3競走のG1クイーンエリザベス2世ジュビリーS(芝6F)に出走したオブライエン厩舎のストームボーイは、5番人気で10着。続いて第4競走のG3ジャージーS(芝7F)に出走したのが、ゴスデン厩舎のスパイチーフで、6番人気の低評価を覆して、同馬が2着に健闘。第6競走のゴールデンゲートSに出走したオブライエン厩舎の2頭、ゴスデン厩舎の2頭は、いずれも8着以下に敗れて、勝負あり。両厩舎ともに勝利数は5のままだったが、G3ジャージーSでスパイチーフが2着になったことで、ゴスデン厩舎の2着が4回となり、3回のオブライエン厩舎をわずかに上回り、リーディングの座に輝いた。

 フィールドオブゴールドで制したG1セントジェームズパレスS、オンブズマンで制したG1プリンスオブウェールズS、トローラーマンで制したG1ゴールドCと、5勝のうち3勝がG1で、内容的にも申し分のないものだった。

 そして、2025年のロイヤルアスコットで忘れてはならないのが、最終日のG1クイーンエリザベス2世ジュビリーSに参戦した、サトノレーヴ(牡6、父ロードカナロア)の奮闘ぶりだった。3月30日に中京で行われたGI高松宮記念(芝1200m)を制しGI初制覇を飾った同馬。4月27日にシャティン競馬場で行われたG1チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)で、現役最強スプリンターと目される香港の怪物カーインライジング(セ4、父シャムエクスプレス)の2着になると、その5日後に香港を出発。ドバイ経由で5月3日未明に英国ニューマーケットに渡り、調整を積まれてきた。

 今年のロイヤルアスコットは初日から好天が続き、G1クイーンエリザベス2世ジュビリーSが行われた21日(土曜日)、アスコットの芝コースは“Good to Firm”というクイックな路面になった。こういう馬場が合うのは日本調教馬と見た英国の競馬ファンが多かったようで、週始めまで前売り3〜4番人気だったサトノレーヴが、当日にはなんとオッズ3倍の1番人気に浮上したのには、いささか驚かされた。

 結果は皆様もご存知のように、フランス調教馬ラザット(セ4)に半馬身及ばぬ2着に終わったが、ロイヤルアスコット最終日のメイン競走で本命に推されるという大役を、サトノレーヴは十二分に果たしたと言えそうだ。同馬と、同馬の関係者の皆様には、心からの敬意を表したいと思う。

    ランキングスポーツ

    ニュース設定