記者会見する日銀の田村直樹審議委員=25日午後、福島市 日銀の田村直樹審議委員は25日、福島市で記者会見し、「(2%の)物価目標の実現確度の高まりに応じて適時かつ段階的に短期金利を引き上げることが重要だ」と述べ、利上げ路線を堅持すべきだとの立場を強調した。利上げの最終的な到達点については、景気を刺激も冷やしもしない「中立金利」の下限と推定される1%水準を念頭に置くべきだとの考えを示した。
物価動向に関しては、コメなど食料品価格の上昇も背景に「上振れリスクが高まってきている」と分析した。日銀は5月の金融政策決定会合で、トランプ米政権の高関税政策の影響を踏まえ成長率と物価見通しを下方修正したが、田村委員は「5月時点の私の想定より、インフレが加速している」と指摘。その上で「上振れリスクが一段と膨らめば、日銀として果断に動くべき時が来ることもあり得る」と述べ、予断を持たずに利上げを判断する構えを示した。
ただ、年内利上げの可能性については、「(トランプ関税の)展開次第で早いかもしれないし、しばらく時間がかかるかもしれない」と述べるにとどめた。