「安全運行の要」ずさん運用=国交省、是正注視へ―日本郵便

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2025年06月25日 21:01  時事通信社

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時事通信社

 大手運送事業者では異例の運送事業許可取り消しとなった日本郵便。「安全運行の要」とされる運転手への点呼が長年ずさんに行われていた実態が明らかになり、国土交通省は今後、是正に向けた動きを注視していく方針だ。

 「周囲もやっていないから自分もやらなくていい」「点呼は面倒」―。日本郵便の内部調査によると、現場では点呼に対する意識が欠如していた。本社や支社のチェック体制も甘く、「形式的に書類が整っていれば発覚しない」との考えがはびこっていた。

 点呼は事故を防ぐため、日々業務前後の運転手のアルコールチェックや健康状態の確認をする重要な手続きだが、ずさんな運用は集配業務を担う全国の郵便局の4分の3に上った。

 こうした運用は2007年の郵政民営化に伴い、運送事業者として貨物自動車運送事業法の適用を受けるようになった時から常態化していたとみられ、ある国交省幹部は「通常の物流会社であれば、存続が危ういレベルだ。自分たちは特別だという意識があったのではないか」と指摘する。

 日本郵便のゆうパックが宅配便に占めるシェアは2割に上る。国交省によると、23年度の宅配便計49億個のうち、ゆうパックはヤマト運輸、佐川急便に次いで3番目に多い10億個。07年度に8.4%だったシェアは徐々に拡大してきた。

 許可取り消しで5年間使えなくなるトラックが担っていたゆうパックの集荷や運送について、日本郵便はヤマトや佐川など他社への外部委託を進める方針だ。ただ、トラック業界では、24年度からの運転手の残業時間規制に伴い、人手不足が深刻化。国内物流への影響も懸念される。

 千田哲也日本郵便社長は17日の記者会見で、「物流業界が血のにじむような努力をしている中、業界の一員として恥ずかしい」と陳謝。「不信感を持たれるのは当然。しっかりしたオペレーションを築き、信頼回復していきたい」と語った。 
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