ロッテの19歳「打てるキャッチャー」寺地隆成が語る現状と課題 「一番大事にしているのは試合で感じること」

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2025年06月26日 10:10  webスポルティーバ

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ロッテ寺地隆成インタビュー 前編

 今季、ロッテでスタメン出場が続いている高卒プロ入り2年目の寺地隆成。交流戦終了時点で50試合に出場し、打率.271、4本塁打とバッティング能力が高いキャッチャーとして存在感を示している。インタビューの前編では、キャッチャーとして大事にしていることや感じている課題、メンタル面などについて聞いた。

【キャッチャーとして「一番大事にしている」こと】

――東京都墨田区のご出身ですが、中学3年生の秋に明徳義塾中に転校し、その後に明徳義塾高に進学しています。明徳義塾高に行こうとした理由は?

寺地隆成(以下:寺地) まず、関東から出たくて。親元から離れたかったんです(笑)。東京の小学校で一緒だった同級生が明徳義塾中に行ったということもありましたし、僕が中学3年生の時にコロナ禍になり、東京で野球がまったくできなくなったんです。そういったことがきっかけで転校しました。

――お父様は世界選手権で3度優勝されている剣道家であり、現在は警視庁剣道指導室主席師範などをされています。どんな教育をされてきましたか?

寺地 小学生の頃はけっこう厳しかったですね。「人としてやったらあかんことはあかん」と言われてきました。

――今季は高卒2年目のシーズンながら、一軍での出場が増えています。ご自身の予想よりも早かったですか? それと、キャッチャーに転向したのが明徳義塾高2年の秋でキャッチャー歴は短いですが、一軍の試合に出場しながらどんな課題を感じていますか?

寺地 こんなに早く、これだけ試合で使っていただけるとは思っていませんでした。課題は、やっぱり配球面ですね。うまくいく時もあるのですが、うまくいかない時も多く、その差が激しいというか......。ピンチになればなるほど考えなければいけないことが多くなりますが、そこでの配球をどうするか。バッターのその日の調子や特徴を踏まえた配球ができているのかどうか。そこが一番の課題だと感じています。

――バッターの対策をするにあたっていろいろなデータがありますが、一方で試合のなかで感じることをいかに配球に組み込むか、ということも大切な作業だと思います。そのあたりはどう考えていますか?

寺地 一番大事にしているのは、試合で感じることですね。例えば、「インコースが弱い」というバッターに対してインコースを突きすぎると、逆にそこの反応がよくなってくることもあります。データを踏まえて配球するのも大事だと思いますが、インコースを引っ張ってきたらアウトコースに要求したり、逆に「足もとに変化球を投げさせてファウルを打たせてみようかな」など、試合で感じることが重要なのかなと。

【今後の課題と、ZOZOマリンならではのリード】

――キャッチャーとして多くのバッターと対戦してきましたが、マスク越しに見て特に印象に残っているバッターは?

寺地 各球団にすごいバッターがいるので、特定のバッターを挙げるのは難しいです(笑)。あと、一軍のバッターはアウトにするまでのプロセスがあまりイメージできないというか、常に疑って入っていますし、「打たれそうやな〜」みたいな感覚がどこかにあるんです。探り探りにならないようにはしているのですが、考えてしまいますよね。「絶対に打つぞ、これ......」とか(笑)。

 ただ、絶対に打つぞって思う時ほど意外に当たらないんですよ。逆に「よっしゃ、いけるわ」って思ったときに打たれてしまって、「あれ⁉」ってなることもあります。そういう時ほど甘く入っていることが多いんです。

――キャッチャー歴が短いぶん、伸びしろがあるという考え方もできますが、ご自身でどう感じていますか?

寺地 ブロッキングやキャッチングは、昨年に比べて自分でも成長を感じられている部分ですが、スローイングはまだまだだなと感じています。それと、高校時代は「とりあえず守っているだけ」という感覚だったのですが、相手打線を抑えることができた時に面白みを感じられるようになりました。「前回このバッターと対戦した時は、こういうふうに入って、こう抑えることができたな。今回はどう入ろうか?」とか、そういった部分がキャッチャーの醍醐味なのかなと思います。

――ZOZOマリンスタジアムは特有の風がありますが、風を考慮してリードすることもありますか?

寺地 若干やっかいな時はありますけど(笑)、風の状況や投げているピッチャーによって考えたりはしますね。センターからホームに向かって強い風が吹いてくる時って、風がバックネットに当たってはね返ってくるんです。そうなると変化球がよく落ちて、真っすぐはホップするんですよ。

 そういう日に投げるのがオースティン・ボスさんや種市篤暉さん、田中晴也さんといった真っすぐが強いピッチャーであれば、ホップする真っすぐでファウルを打たせたり、空振りを取ったりしやすくなります。地の利じゃないですが、風を利用することはある程度できているのかなと思います。

【常に意識している「切り替え」】

――ボス投手をはじめ、各ピッチャーとコミュニケーションが取れている印象がありますが、そのあたりはいかがですか?

寺地 ボスさんの場合は通訳さんもいますし、ほかのピッチャーの方々も含めて積極的にコミュニケーションを取るように心がけています。バッテリー間でのコミュニケーションは大事だと思っています。

――お手本にしているキャッチャーはいますか?

寺地 松尾汐恩(DeNA)さんのキャッチングはめちゃくちゃうまいです。試合の動画をたまに見るんですが、下からのミットを入れ方を参考にしています。あと、渡邉陸(ソフトバンク)さんもうまいので、同様に参考にしていますね。

――プロになる選手は軒並み高い技術を持っているため、違いが出るのはメンタルの差とも言われたりしますが、そういったことを感じますか?

寺地 メンタルが大事だと思う時はけっこうありますね。チャンスで凡退した試合で負けてしまった時などは「あぁ......」となったりしますが、どちらかというと切り替えられるタイプじゃないかと思います。

 あと、6月12日の広島戦ではチャンスで2度凡退してしまったのですが、最後の打席でタイムリーの内野安打を打つことができました。ミスしたり負けたりしても、「次こそは」という場面は訪れると思います。そこで打てたらチャラではないですが、少しは報われるのかなと。

 ただ、「キャッチャーとしてのミスを、バッティングで取り返そう」などという考えはないです。あくまでキャッチャーはキャッチャーであり、バッティングはバッティング。そこはすみ分けています。

――切り替えられるタイプとのことですが、どんなことをして切り替えていますか?

寺地 甘いものを食べたりしていますね。スイーツが好きです。アイスであれば、持ち手の部分がクッキーになっているロッテのアイス(ロッテ ガーナ チョコ&クッキーサンド)がめちゃくちゃ好きです。最近は食べられていませんが、ファームにいる時にはロッテ浦和球場の近くのスーパーでよく買っていました。

――明徳義塾高の馬淵史郎監督は、寺地選手について「どちらかいえば、おとなしいタイプ」と言われていましたが、ご自身ではどう思われますか?

寺地 そんなに燃えるタイプではないではないと思います(笑)。先ほどお話したタイムリー内野安打を打った時も、心のなかでは「よっしゃ!」と思っているんですけどね。あと、キャッチャーの部分で課題がまだまだ多いですし、バッティングで結果が出てもすぐに切り替えることを意識している、という言い方もできるのかなと。なので、感情が表にはあまり出ないように見えるのかもしれません。

――夏場に向けて体力を維持することも課題になってくると思いますが、食に関して意識していることはありますか?

寺地 特にないですが、体重は落ちないように心がけています。試合中は水分補給であったり、ちょっと小腹が空いてきたら食べるようにしたり、コントロールできていると思います。よく眠れていますし、体力面に関しての不安は特にないかなと。課題はいろいろありますが、日々進化していけるように頑張っていきたいと思います。

(後編:寺地隆成は「縦振り」で打撃好調 手本にしている名バッターの名も挙げた>>)

【プロフィール】

寺地隆成(てらち・りゅうせい)

2005年8月19日生まれ、東京都出身。177cm・82kg、右投げ左打ち。捕手。小学校1年生の時に硬式野球を始め、中学時代は城東ボーイズでプレー。3年秋に明徳義塾中学校に転校し、明徳義塾高校に進学。2年夏の甲子園に4番・サードとして出場。同年の秋に捕手に転向した。2023年のドラフト会議でロッテから5位指名を受けて入団。1年目は一軍で2試合に出場。2年目の今季はプロ初本塁打を放つなど、出場機会を増やしている。

このニュースに関するつぶやき

  • まさに期待の若手、です。怪我しないで頑張って欲しいです���
    • イイネ!1
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