マンション上階から響く生活騒音 もうムリ!と住人に改善要望→まさかのクレーマ扱い!「子どものすることだから仕方ないでしょう」【弁護士が解説】

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2025年06月26日 15:10  まいどなニュース

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分譲マンションの上の階から大きな音が… ※画像はイメージです(TicTac/photoAC)

分譲マンションの一室で暮らすAさんの穏やかな日常は、ここ数ヶ月すっかり影を潜めていました。原因は、真上の階に住む家族が立てる騒音です。深夜になると、まるで何か重い物を繰り返し床に落としているかのような「ドンドン」という鈍い音が響き渡り、Aさんを浅い眠りから覚めてしまいます。

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Aさんは会社員として日中忙しく働いており、家での安らぎは何よりも大切なものでした。このままでは仕事にも支障が出かねないと考え、勇気を振り絞って上階の住人に「もう少し静かに過ごしてもらえないか」とお願いに行ったこともあります。

しかしインターホン越しに現れた奥さんからは、「子どものすることだから仕方ないでしょう」「これでも気を遣っているんですよ」と、まるでAさんをクレーマー扱いするかのような口調で反論される始末です。

子どものせいだから仕方ないと割り切ろうとしますが、どうにも納得できないAさんはストレスが膨れ上がる一方です。Aさんには何か打開策はないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

騒音の記録を残すことが大切

ーそもそも法的に「騒音」と判断される基準はありますか?

「何デシベル以上の音が何分続いたら騒音」といった、法律で一律に定められた明確な数値基準は、生活騒音に関しては存在しません。自治体によっては、条例で特定の音源(例えば工場の機械音や拡声器の音など)に対して数値基準を設けている場合がありますが、マンションの上下階のような住民間の生活騒音に直接適用されることは稀です。

法的に問題となる騒音かどうかは、「社会生活上、一般的に我慢すべき限度(受忍限度)を超えているか」という点で判断される場合が多いです。受忍限度を超えているか否かは、個別のケースごとに様々な要素を総合的に考慮して判断されます。

ー騒音トラブルにはどのような手順で対処していくのが望ましいですか?

まずは、いつ、どのような音が、どの程度の時間、どの程度の頻度で発生しているのかを具体的に記録してください。可能であれば、スマートフォンの録音機能やビデオで音の状況を記録することも有効です。

そしてこの記録をもとに、管理会社や理事会に相談しましょう。すると当事者間の仲介に入ってもらうといった対応が期待できます。当事者同士の直接交渉は、相手との関係悪化につながりかねないので極力避けたほうがいいでしょう。

どうしても解決しない場合は、自治体の相談窓口(環境課など)や、国民生活センター、弁護士会が設けている法律相談センターなどに相談することも有効です。

ー解決しない場合の法的手段はありますか。

主に民事調停か民事訴訟の2通りがあります。民事調停は、裁判所の調停委員が間に入り、当事者双方の言い分を聞きながら、話し合いによる円満な解決を目指す手続きです。訴訟に比べて手続きが簡易で費用も比較的安く済みます。

民事訴訟は裁判所に訴えを提起し、法的な判断を求める手続きです。実際に上階に住む子供の騒音に対する損害賠償請求では、被告に対して損害を賠償するよう判決を言い渡した事例もあります。

法的手段は時間も費用もかかり、精神的な負担も大きいため、最終手段と考えるべきですが、どうしても解決しない場合の選択肢として知っておくことは重要です。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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