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日本通信は6月25日、総務省から携帯電話番号(090などから始まる11桁の番号)の割り当てを受けたと発表した。
MVNOが携帯電話番号の割り当てを受けるのは、日本で初めてのことだ。これは、2021年12月の総務省情報通信審議会の方針決定と、2023年2月の制度改正によるものだという。
携帯電話番号の割り当ては、音声通話網とSMS網との相互接続に必要不可欠だ。今回の割り当てにより、日本通信はこれらの相互接続の実現に向けて大きく前進した。
日本通信は、従来のMVNOの枠を超え、MNOによる契約・技術面での制約から解放され、音声・SMS・データ通信の全てを相互接続して提供する「ネオキャリア」としての道を歩み始めるとアピール。これはMNOに対抗し得る競争主体としてのステージ転換であり、通信事業者としての本質的な自立を実現するものだとしている。
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●相互接続に向けたこれまでの経緯 サービス開始は2026年5月24日
日本通信は、2007年の総務大臣裁定によりNTTドコモのデータ通信網との相互接続を実現したが、音声通信網およびSMS網との相互接続については、MVNOが携帯電話番号の指定を受けられない制度上の制約から、実現が難しい状況が続いていた。
しかし、2021年12月に総務省情報通信審議会でMVNOへの電話番号指定方針が示されたことを受け、日本通信は2022年6月にドコモへホストMNOネットワークと自社コアネットワークの相互接続を申し入れ、2024年2月に合意に至った。
2025年現在、日本通信は国内通信事業者との相互接続に関する調整や緊急通報網(110番、119番など)の構築を進めている他、HSS(Home Subscriber Server)、IMS(IP Multimedia Subsystem)、SMSC(Short Message Service Center)などのコアネットワーク機能の構築を進めている。
社内での動作試験などはほぼ終了しており、今回の携帯電話番号の割り当てを受けて、今後はドコモの基地局との連携を想定した試験に移行する予定だ。2026年5月24日(予定)の新サービス開始に向け、準備を本格化しているという。
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●「ネオキャリア」の意義は──? 代表取締役社長兼CEOの福田尚久氏が説明
日本通信の代表取締役社長兼CEOである福田尚久氏は、「卸契約は一般的に、相手企業の事情に左右されやすく、不透明な点が多くあります。しかし今回、電気通信事業法に基づく相互接続という持続可能な仕組みが整ったことで、将来に向けた明確な出口が見えてきました。相互接続に至るまでの道のりは大変ですが、確実にその先にたどり着けると確信しています。これは、広大な平野に虹がかかるように、希望の兆しが見えた瞬間でもあります。この機会を新たな出発点とし、“本当の意味で独立した通信事業者=ネオキャリア”として思いきった挑戦を続けてまいります」と述べている。
音声通信網などの相互接続が実現すると、日本通信はデータ通信網、音声網、SMS網の全てについて、電気通信事業法の定めに基づき、「適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額」で将来にわたって利用可能になる。加えて、より自由度の高いサービスを提供可能になり、すなわち「新たな形のキャリアの誕生」になるわけだ。
●ローコスト・キャリアの実現に向けた日本通信の取り組み
日本通信は、6カ国21社にわたるベンダーと連携し、HSS、IMS、SMSCなどのネットワーク機能を最適に組み合わせたコアシステム構築を進めている。機能ごとに最適な技術を選定することで、システム全体の投資コストを従来の数分の一に抑えるとしている。
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さらに、ネットワーク運用、代理店コスト、営業、人件費などの多くの点においてローコスト・オペレーションを実現しており、MNOに比べて優れたコスト効率性を持つことで、競争力を発揮しているという。
日本通信は今後も、「安全・安心にビットを運ぶ」ことを使命とし、サービス・製品を通じて社会に貢献し、持続可能なデジタル社会の構築と企業価値の向上を目指すとしている。
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