一斉摘発に密着“巨大スカウトグループ”解体目指し 警視庁保安課30年ぶり特捜本部、5年間で7万8000人の女性を紹介か【Nスタ解説】

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2025年06月26日 21:06  TBS NEWS DIG

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全国の風俗店に女性を違法に紹介したとされる巨大スカウトグループをめぐり、警視庁・保安課が解体を目指して捜査を続けています。30年ぶりに設置された特別捜査本部。その最前線に密着取材しました。

【写真を見る】巨大グループ「アクセス」のスカウトたち

“巨大スカウトグループ”解体目指し 警視庁保安課が30年ぶりの特捜

2025年2月、都内の警察署で行われた捜査会議。警視庁の生活安全部保安課は、オウム事件以来30年ぶりに特別捜査本部を設置し、あるグループを追っていました。

捜査員
「既に押収している証拠資料から、ほぼ全容は掴めている」

ターゲットは巨大スカウトグループ「アクセス」。300人のスカウトが所属し、全国の風俗店に女性を違法に紹介しているとされています。

このトップとみられるのが、2024年11月に逮捕された遠藤和真容疑者(34)です。

そもそも性風俗店に女性を紹介するスカウト行為は法律で禁止されています。しかし、「アクセス」はSNS上で女性を勧誘し、リスト化。女性の自撮り写真やプロフィールなどのデータを性風俗店に送り、オークション形式で最も高い報酬を提示した店に紹介していました。

「アクセス」が契約を結んでいた風俗店の数は、全国46都道府県で1800店舗にも及び、5年間で7万8000人の女性を違法に紹介していたとみられています。

スカウトを通じて風俗店で働いた経験があるこちらの女性は、「ホストクラブで使う金を稼ぐためだった」といいます。

過去にスカウトを利用した女性
「(稼ぎは)完全ホストに使っていて、先月は400万円ぐらい稼いで、それをそのままホストにベット(使う)みたいな。多分、スカウト自身は自分の給料しか考えていない人が多い」

「アクセス」は、女性の紹介料として約60億円を得ていたとみられています。

警視庁生活安全部 宇田川佳宏 部長
「典型的なトクリュウ型の犯罪。彼女たちが仕事を通じて得たお金を搾取している者の存在がいるのかいないのか。そうしたことを解明していく必要がある」

捜査本部は「アクセス」解体を目指し、全国で風俗店の一斉摘発にも乗り出しました。

全国に捜査広げ、風俗店など9店舗を摘発 「アクセス」本体にも捜査のメス

2025年1月下旬、捜査員が集まったのは石川県加賀市です。

警視庁保安課 森浩史 対策官(当時)
「以前に捜索した事務所から(アクセスが)女性たちを派遣している(店の)リストが出て、石川県下の性風俗店で働いてると情報が分かったので、本日摘発に乗り出す」

石川県警との合同捜査で、「アクセス」のスカウトと違法な風俗店の結びつきを明らかにするのが目的です。

雨の中、現場に向かう捜査員たち。マークしていたのは、北陸を代表する温泉街にある風俗店です。

警視庁保安課 森浩史 対策官(当時)
「お客さんが入ってからサービスが始まるまでに時間があるので、それを見極めて捜査員が入る」

“失敗は許されない”。現場に緊張が走ります。

記者
「続々と捜査員が店舗の中へ入っていきます」

捜索は4時間に及びました。署に戻った捜査員は、早速、押収した証拠品を調べます。中には従業員名簿や、女性の勤務状況を示す手書きの管理表も。

そして…

捜査員
「(郵便物の)控えが現場から押収されました。ここにアクセスと書いてあることから、アクセスとの繋がりが明白になりました」

店が「アクセス」に報酬を支払っていたことを示す重要な証拠です。

こうした捜査を全国に広げ、捜査本部はアクセスと契約していた風俗店など9店舗を摘発しました。

そして、「アクセス」本体にも捜査のメスが入ります。

捜査員
「まもなくあれだよね、ヤサ(被疑者の自宅)よね?」
「まもなくです」
「左だよね?」

「アクセス」のNo.2・村上裕太容疑者(33)など、警視庁は26日までに幹部ら12人を逮捕。そして、リーダーの遠藤容疑者を風俗店からの「スカウトバック」と呼ばれる報酬約1億2000万円を隠した疑いで再逮捕しました。

警視庁保安課 半田正浩 課長
「(アクセスの)主要幹部のほとんどを逮捕した。アクセスと同様、人身取引とも言える手口で女性を搾取するスカウトグループは、いまだ活動している状況が見受けられます」

“悪質ホスト”の規制強化へ 女性の被害を減らすには?

TBS報道局社会部 警視庁担当 犬飼さき 記者:
今回「アクセス」に紹介されて風俗店で働いていた女性の理由として、ホストクラブで使うお金を稼ぐ女性が複数いました。

今回の「アクセス」のケースではないですが、こうしたスカウトグループの構図をめぐっては、「悪質ホスト」の存在があります。

一例として、ホストクラブに通って売掛金を抱えた女性が、悪質ホストから「風俗なら稼げる」などとスカウトを紹介され、さらにそのスカウトから風俗店を紹介されて、売掛金を返済する目的で風俗店で働かせられるという問題があります。

井上貴博キャスター:
例えば他にも、よくニュースになる「トクリュウ」などがこういうところに群がって資金を調達することもあるわけですか。

犬飼記者:
今回の「アクセス」の場合も、このスカウトのグループ自体が「トクリュウ」として活動していました。

さらに、女性を紹介すればするほど、スカウトと悪質ホストにも紹介料などのスカウトバックが入る仕組みになっているので、スカウトたちも悪質ホストからの紹介を受けて、次々と風俗店に女性を紹介するという仕組みになっています。

出水麻衣キャスター:
悪質ホストが「アクセス」の一員ということはないのですか。

犬飼記者:
今のところそうした話は入ってきていません。

井上キャスター:
犯罪グループを潰していくことはもちろん大切ですが、もう一つの柱として、孤独感を感じている若い女性が多くいる。そこに対してのアプローチや支援を行うことも忘れてはならない気もします。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
おそらく金銭的な問題もあるので、その手当も必要になってくると思います。

出水キャスター:
「売掛」は度々問題になっていますが、何か手立ては打たれてないのでしょうか。

犬飼記者:
改正風営法が6月28日から施行されます。

【28日施行の改正風営法】
・売掛金目的の「売春要求」など禁止
・「色恋営業」禁止
・「スカウトバック」禁止 
など

売掛金の問題について、ツケ払いそのもの自体は禁止されません。

客に対して、注文や料金の支払いをさせる目的での威迫や、料金の支払いのための売春、今回のような性風俗店の勤務、アダルトビデオの出演などの要求を禁止するというものが、今回施行されます。

井上キャスター:
犬飼記者は継続的に取材を行っていますが、何かを感じていることや今抱いている思いはありますか?

犬飼記者:
ホストクラブに通う女性は、自分がのめり込んでいることに気づかないケースが多く、風俗店に行って、やっと自分がそういうことに巻き込まれているんだと気づく人がとても多いです。

女性たちの変化に気づいたら、周りの人が声をかけるなど、女性側のケアをしっかり考えていかなければならないと思います。

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〈プロフィール〉
犬飼さき
TBS報道局社会部 警視庁担当
歌舞伎町や薬物問題をテーマに取材

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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  • 大きく育てて根こそぎ刈り取る (´・Д・)」 ホスト通いのためなら風俗勤めも厭わないって方が沢山いすぎてある意味怖い
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