京大の立て看板(通称タテカン)が撤去されて7年あまり。司法の判断が下された26日、請求棄却との結果に、原告や傍聴した学生らからは「不当だ」と怒りの声が上がった。
タテカンは2018年に撤去が始まるまで、京大の吉田キャンパス(京都市左京区)周囲の歩道に数多く並んでいた。イベントの紹介や告知のほか、時には社会や大学が抱える問題を皮肉るものもあった。
大学側の規制の目をかいくぐり、大学非公認サークル「シン・ゴリラ」は今もタテカンを立て続ける。結成は撤去直前の18年4月。メンバーの男子大学院生(24)と代表の男子大学生(20)が判決前、毎日新聞の取材に応じた。
タテカンの魅力について2人は「強制力を持って、人の目に情報を飛び込ませることができる」と表現。SNSはアルゴリズムによって、関心のある情報ばかりが流れ、個別のサークルや個人から発した情報は、不特定多数には届きにくいという。
タテカンの恩恵を受けてきたのは学生だけではない。教職員らもこれまではシンポジウムを開催する際、タテカンを門の前に置くなどして学外からの参加者を募ってきた。しかし規制が始まり、外部からシンポジウムに参加する人が減ったと感じている。
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原告で京大大学院法学研究科の高山佳奈子教授もその一人で、「(京大の)法学部生とロースクール生にはネットで告知ができるんですけどね」と肩を落とす。だからこそ「ノスタルジーじゃない。今まさに必要なもの」と訴えてきた。
タテカン文化は、撤去と新型コロナ禍でほぼ絶たれた。男子大学生は「立て続けなければ文化は継承されない」。シン・ゴリラではタテカンを製作するだけではなく、タテカンの歴史や文化としての側面も継承する。
判決には多くの学生らも詰めかけた。原告は「京都市と京大の主張を鵜呑(うの)みにし、不当極まりない」として控訴する方針。シン・ゴリラ代表の男子大学生は「不当判決で信じられない。タテカンは学生、教職員、地域住民の権利で禁止は許されない。抵抗し続けたい」と話した。【水谷怜央那、資野亮太】
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