ワークマンが発売した夏向けの新作アイテム「氷撃冷感 -10℃ 半袖Tシャツ」(580円)が好調だ。同社では2021年より累計180万枚以上を売り上げているヒット商品「放熱冷感半袖Tシャツ」(499円)を手掛けているが、新作アイテムのTシャツは2025年のみで既に約60万枚販売。従来の人気アイテムを上回る勢いで売れている。
2025年新作の氷撃冷感シリーズは、これまでの冷感アイテムと何が異なるのか。特徴や人気の理由を広報部の担当者に聞いた。
●汎用性のある商品ラインアップを展開
ワークマンでは創業当時より、作業現場で働く人々に向けた高機能Tシャツを多数開発してきた。近年は夏向けアイテムとして、作業員だけでなく一般客も含めて日常使いで“ひんやり”過ごせる冷感機能を強化した商品を展開している。
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2025年の新作「氷撃冷感シリーズ」は、作業用インナーとしても、アウトドア用としても使える半袖・長袖Tシャツなど、全6種類のアイテムをラインアップしている。
特徴は、複数の冷却技術を組み合わせた機能を備えている点だ。さらに、仕事でも私生活でも使い回せるよう、価格は1枚当たり580〜780円に抑えている。
●マイナス10度の温度差を実現
主な機能としては、触った瞬間にひんやりする「接触冷感」のほか、洗濯後に短時間で乾きやすい「吸水速乾」、屋外でうれしい「UVカット」、におい対策としての「抗菌・消臭」、夜間作業時も安心の「反射材付き」機能の5点となる。冷感性能としては、第三者機関の調査でマイナス10度の温度差を実現しているという。
広報の担当者は「この価格帯でありながら、ワークマンの既存商品と比較しても多くの機能を搭載している。非常にコストパフォーマンスが良い商品」としており、男性を中心に20〜40代まで幅広い層から指示を得ているとのことだ。
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最も売れている半袖Tシャツのカラーラインアップは7色で、サイズはS〜3Lまで幅広くそろえている。
●熱中症リスクを軽減する新シリーズも
2025年夏向けアイテムとしては、暑熱軽減ウェア「XShelter」シリーズも発売している。こちらは気化冷却、透湿度、肌離れ性(生地が肌に張り付きにくい性質)など、熱を軽減する機能を備えた素材を採用している点が特徴だ。熱中症の4大リスクとされる「気温・湿度・輻射熱・風」に対応する商品だという。
同シリーズは、厚生労働省が2025年6月から職場での熱中症対策を義務化したことを受けて開発された。ワークマンの社内組織「ワークマン快適ワーク研究所」が、日本赤十字看護大学附属災害救護研究所と共同で開発した機能性ウェアになる。この4月に発表したばかりだが、6月時点で既に在庫が少ない店舗も多いとのことだ。
●ワークマンが考える“ひんやりTシャツ”ヒットの理由
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2025年も冷感アイテムが引き続き好調なワークマン。広報担当者はその理由について、「夏の暑さが厳しくなる中で、過酷な環境で働く人だけでなく、一般の人たちの間でも暑さ対策への意識が高まっている」と説明している。
連日の猛暑により衣服でも“ひんやりアイテム”を選択する機会が増え、複数枚購入して気軽に着回せる商品へのニーズが高まっているようだ。
同社としても従来のターゲットである現場の作業員だけでなく、一般消費者も含め多様な用途に対応できるよう、商品設計を行っているという。「特に売れているTシャツ類については洗い替えがしやすい価格帯とし、冷感機能に加え安全性や速乾性、耐久性も強化している」
もう1つの傾向は、消費者の購入時期が早まっていることだ。ワークマンでは近年、夏向け商品の発表を例年より約1カ月早めている。2025年は6月から30℃を超える日が増えていることもあり、例年以上に早く暑さ対策の商品を店頭に並べられるよう準備を進めたという。
来年に向けても、ワークマンの特徴である機能性と価格、ブランド価値はそのままに、多くの人のニーズに応える商品開発を進めていく方針だ。「新しい素材の開発に加えて、最近は『ひんやり感』をすぐに実感できる商品を求める人が増えている。そのためワークマンでは、冷感ベスト(電気で瞬間冷却できるペルチェベスト)の場合、体に触れるデバイス部分がより冷たく感じられるような商品の開発も検討している」
ワークマン全体で見ると女性客も増えていることから、性別や年代を問わず着用できる商品開発を進めていくとのことだ。来年はどのような“ひんやりアイテム”が登場するのか。今後の展開にも注目したい。
(熊谷ショウコ)
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