
浦和レッズが、3戦全敗でクラブワールドカップの戦いを終えた。
3試合すべてに共通することだが、浦和は世界の強豪クラブを相手に、決して手も足も出なかったわけではない。
グループリーグ最後のモンテレイ戦にしても、マリウス・ホイブラーテンいわく、「試合のスタートはとてもよかった。いくつかのチャンスも作っていた。それを決めていれば、試合は違うものになったかもしれない」。
ところが、「そのチャンスを逃して、罰を受けた」とホイブラーテン。
前半30分に先制点を奪われると、わずか10分足らずでさらに2失点。試合終了直前にもダメを押され、終わってみれば0−4の完敗だった。
|
|
とはいえ、ふだんJリーグで見ているチームが世界的な強豪と対戦し、どんな戦いをするのか。その点については非常に興味深く、誤解を恐れずに言えば、3試合いずれも見ていて面白かった。
ヨーロッパ方面を中心に、決して評判がいいとは言えないクラブワールドカップだが、Jリーグの側に立てば、今後もぜひ続けてもらいたい大会である。
ただし、今大会に浦和が出場したことで示された、内容や結果をどう評価すればいいのか。その点に関して、言及するのは少々難しい。
というのも、世界のクラブチームはすべてが横並びではなく、明らかな格差に基づいて存在しているからである。
今大会では、技術、戦術、判断など、さまざまな面で、浦和が対戦相手に劣る場面が見受けられた。それこそが、世界との差、ということになるのだろう。
|
|
だがしかし、浦和がそうした課題を解消すべく戦力補強を図り、ひいてはアカデミーの育成・強化にも力を入れた結果、世界レベルの選手が次々に台頭してきたとして、そうした選手はほぼもれなく、ヨーロッパのクラブへと移籍してしまうのである。リーベル・プレートの17歳、フランコ・マスタントゥオーノのように。
つまり、浦和とインテルは、今大会に限ればライバル関係だったが、現実的には浦和はインテルに選手を吸い上げられる立場にあり、浦和の戦力がインテルのそれを超えることは、現状のサッカー界の仕組みのなかではあり得ないことなのである。
たとえば、これが代表チームであれば、話は単純でわかりやすい。
日本代表がワールドカップでグループリーグ敗退に終わったとして、選手が「次は突破できるように、また4年後、日本代表として戻ってきたい」と成長を誓うことは、至極当然の話である。成長した彼がプレーできる場所は、次も日本代表しかないからだ。
だが、浦和がクラブワールドカップでグループリーグ敗退に終わった場合、選手が「次は浦和ではなく、インテルの一員として、この舞台に戻ってきたい」と考えたとしても、何らおかしな話ではない。むしろ、そう考えるくらいのほうが、向上心が強い、とさえ言えるのかもしれない。
|
|
だからこそ、今大会の結果を受けて、浦和は世界との間にどのような差があって、それを埋めるにはどうしたらいいのか。そんな議論には、あまり意味がないように感じてしまう。
現状においては、日本と世界トップレベルのクラブチームとの差は、絶対に埋まらない仕組みになっている。それは、浦和に限った話ではなく、鹿島アントラーズだろうが、ヴィッセル神戸だろうが、同じこと。一クラブの頑張りで、どうこうできる話ではない。
ただし、Jリーグ全体として受け止めるべき課題は明確になった。
「やっぱりJリーグでの環境が本当に大事になってくる。Jで緩いプレー、ぬるいプレーをしているようでは、(クラブワールドカップのような大会で)結果も出ない。Jでは大丈夫(なプレー)でも、こういう場所では通用しないというところは全員が感じられたと思う」
浦和のベテランGK、西川周作がそう話していたが、彼の言葉を借りるまでもなく、世界的に見れば、Jリーグのサッカーはまだまだ緩さが目立つ。
Jリーグでは当たり前に見られる、安易なバックパスを狙われる。少々距離はあっても、ボール保持者への寄せが甘ければシュートを打たれる。
そんなことの積み重ねが、手にしていても不思議はなかった勝ち点を落としてしまう結果につながったと言わざるを得ない。
Jクラブと世界との間には、埋めがたい差が歴然として存在する。それはどうすることもできない、大前提の話である。
そのうえで、浦和は今持てる力を最大限に発揮する戦いができたのか。本来的な実力とは別の、ちょっとしたスキを突かれて敗れはしなかったのか。
そうしたところにこそが、注目すべきポイントがあるはずだ。
せっかくクラブワールドカップが長く続いているのに、日本のクラブは出られなくなってしまった――。そんな事態を避けるためにも、Jリーグの"環境改善"が求められている。