“5070 Laptop”を搭載した「ROG Zephyrus G16(2025)」を試す “5070 Ti Laptop”との差は?

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2025年06月27日 15:11  ITmedia PC USER

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有機ELディスプレイの鮮やかさは大きな魅力だ

 ASUS JAPANが5月に発売したゲーミングノートPCの新モデル「ROG Zephyrus G16(2025)」は、2024年モデルのボディーやインタフェースはそのままに、CPUやディスクリートGPUを最新世代に刷新したモデルだ。


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 今回取り上げるのは「GeForce RTX 5070 Laptop GPU」搭載モデルで、直販価格は43万9800円となっている。とはいえ、ROG Zephyrus G16(2025)の中では比較的価格を抑えられたモデルでもある。


 今回は以前レビューした「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」搭載の「ROG Zephyrus G14(2025)」と各種ベンチマークテストのスコアを比較しながら、GeForce RTX 5070 Laptop GPUの性能をチェックしていきたい。


●ROG Zephyrus G16(2025)の主な仕様をチェック


 筆者の手元にあるROG Zephyrus G16(2025)の型番は「GA605KP-AI7R5070G」となっている。CPUにAMDの「Ryzen AI 7 350」(8コア16スレッド、最大5GHz)を採用し、メモリは32GB(LPDDR5X)、ストレージは高速なPCI Express 4.0/NVMe接続の1TB M.2 SSDを搭載する。


 ROG Zephyrus G16(2025)には、他にもIntel CPUと上位のGeForce RTX 5090/5080 Laptop GPUを搭載する上位モデル(4月発売)、そして本機と同時に発表されたGeForce RTX 5060 Laptop GPUを搭載する下位モデルが用意されている。


 今回レビューするモデルも含めて、GeForce RTX 50 シリーズ Laptop GPUを搭載するROG Zephyrus G16(2025)が、下位モデルから上位モデルまで、一通り市場に出そろったことになる。


 CPUとGPU以外の仕様は、発売済みの2025年モデルや2024年モデルと変わらない。ディスプレイは鮮やかな16型(2560×1600ピクセル)の有機ELディスプレイで、最大240Hzの高速リフレッシュレートに対応する。


 本体の各種インタフェースなどにも変更はないが、最近のモデルとしては珍しく、右側面にフルサイズのSDメモリーカードスロットを搭載しているのが特徴的だ。


 なお、本機の本体カラーは「エクリプスグレー」1色のみとなる。モデルによって選べる本体カラーが異なる点は、ROG Zephyrus G16(2025)を選ぶ際の悩みとなるかもしれない。


●ベンチマークテストでGeForce RTX 5070 Laptop GPUの性能を確認


 ここからは各種ベンチマークテストで、ROG Zephyrus G16(2025)に搭載されているGeForce RTX 5070 Laptop GPUの性能を確認していこう。


 比較用として、以前ベンチマークを行ったGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを搭載するROG Zephyrus G14(2025)と、その際にあわせて掲載したGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載する「Dell Alienware x16」のスコアを掲載する。


 CPUの違いやOS、ドライバー、ベンチマークソフトのバージョンが異なるため、あくまでも参考値としてほしい。


3DMark


 まずは3Dグラフィックスベンチマークにおける定番アプリ「3DMark」で、主要なテストを実行してみよう。今回はDirectX 12をテストする「Time Spy」シリーズと、DirectX 11をテストする「Fire Strike」、そしてレイトレーシング性能を計測する「Port Royal」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。結果は以下の通りだ。


・Time Spy


・ROG Zephyrus G16(2025):1万1776ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):1万2751ポイント


・DELL Alienware x16:1万1764ポイント


Time Spy Extreme


・ROG Zephyrus G16(2025):5707ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):6717ポイント


・DELL Alienware x16:5561ポイント


Fire Strike


・ROG Zephyrus G16(2025):2万7809ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):2万9596ポイント


・DELL Alienware x16:2万5648ポイント


Fire Strike Extreme


・ROG Zephyrus G16(2025):1万3880ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):1万7119ポイント


・DELL Alienware x16:1万3536ポイント


Fire Strike Ultra


・ROG Zephyrus G16(2025):7440ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):8421ポイント


・DELL Alienware x16:6874ポイント


Port Royal


・ROG Zephyrus G16(2025):7730ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):9046ポイント


・DELL Alienware x16:7177ポイント


 ROG Zephyrus G16(2025)に搭載されているGeForce RTX 5070だが、同世代かつ上位のGeForce RTX 5070 Tiには及ばない。しかし前世代のGeForce RTX 4070 Laptop GPUと比べた場合、どのテストでも10%前後の性能向上を確認できた。


FINAL FANTASY 15 ベンチマーク


 続いて実際のゲームをベースとするベンチマークソフトを実行し、ROG Zephyrus G16(2025)に搭載されたGeForce RTX 5070 Laptop GPUの性能を見ていこう。


 今回テストしたのは「ファイナルファンタジー15 ベンチマーク」だ。国産ゲームタイトルとしては2025年現在も重量級のゲームであり、快適に遊ぶとなると、それなりの性能を求められる。


 テストでは解像度を「フルHD」「WQHD」「4K」に、画質設定は「高画質」を選択している。テスト結果は以下の通りだ。


・フルHD


・ROG Zephyrus G16(2025):1万2314ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):1万2449ポイント


・DELL Alienware x16:1万1280ポイント


WQHD


・ROG Zephyrus G16(2025):9630ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):9167ポイント


・DELL Alienware x16:8454ポイント


4K


・ROG Zephyrus G16(2025):5092ポイント


・ROG Zephyrus G14(2025):5383ポイント


・DELL Alienware x16:4714ポイント


 WQHD解像度でGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを超える結果を出しているが、それ以外では劣っているため、ここはドライバーのバージョン違いによる誤差と考える方が自然だろう。


 各GPUによる差はわずかになるが、GeForce RTX 5070 Laptop GPUは比較の中では平均で2位に位置し、順当に世代とグレードの順に素直に並ぶ結果となった。


 しかし、特に差が開いたのが4K解像度だ。この差については次のテスト結果で考察したい。


モンスターハンターワイルズ ベンチマーク


 現在、ゲーミングPCの購入や買い替えの動機になることが多いゲームタイトルといえば「モンスターハンターワイルズ」だろう。


 国産タイトルかつ歴史の長いシリーズの最新作とあり、いまだに注目度は高く、今後も強力なモンスター、難易度の高いクエストの追加が予定されているため、既にプレイ中の人であってもアップデートに向け、PCのアップグレードを検討する人も多い。


 こちらはベンチマークのリリースのタイミングの都合、ROG Zephyrus G16(2025)とROG Zephyrus G14(2025)のテスト結果で比較を行っていく。


 ベンチマークソフトの設定はDLSSによるフレーム生成あり、画質設定はウルトラで、ディスプレイ解像度は1920×1200ピクセル、2560×1600ピクセルで実施した。結果は以下の通りだ。


・1920×1200


・ROG Zephyrus G16(2025):1万2170(平均 72.15fps)


・ROG Zephyrus G14(2025):1万4516(平均 86.29fps)


2560×1600


・ROG Zephyrus G16(2025):7987(平均 46.85fps)


・ROG Zephyrus G14(2025):1万2475(平均 73.29fps)


 フルHD+であれば、GeForce RTX 5070 Laptop GPUも平均フレームレートで60fps以上、つまり家庭用のゲームコンソールに多い最大60fpsといった上限フレームレート以上のフレームレートを出しているため、ゲーミングPCに期待する「ゲームコンソール以上に滑らかな映像とゲーム体験」を得られる。


 しかし、WQHD+では上位のGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUがフルHD+と同様の結果を残せている中、GeForce RTX 5070 Laptop GPUではガクッとスコアが落ちてしまっている。


 モンスターハンターワイルズのベンチマークでは、ベンチマークの設定を行う際に「ビデオメモリが不足する可能性」を警告してくれる親切な機能がある。


 今回、ROG Zephyrus G16(2025)ではWQHD+かつ画質設定でウルトラを選択すると、この警告が出てしまい、実際にベンチマークテストを実行すると上記の通り、良好な結果を得ることができなかった。


 GeForce RTX 5070 Laptop GPUのビデオメモリ容量は8GBであり、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUは12GBと、1.5倍も多い。


 高解像度かつ高画質の設定ともなると、読み込まれるグラフィックデータの容量は大きくなるため、重量級のゲームタイトルの画質を高くするとビデオメモリ不足に陥ってしまうようだ。


 先ほどFINAL FANTASY 15のベンチマークテストでも、4K解像度ではGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUとの差が大きく開いていたのも、ビデオメモリ不足が原因だと考えている。


サイバーパンク2077


 では違う重たいゲームタイトルではGeForce RTX 5070 Laptop GPUの性能はどうだろうか。重量級ゲームタイトルの定番となるサイバーパンク2077で、ゲーム内に設けられたベンチマーク機能を使ってテストを行った。


 テストにおいては、グラフィックプリセットは最も重たい「レイトレーシング:オーバードライブ」を選択した。解像度はフルHDとWQHDを選択し、DLSSによる超解像スケーリングとフレーム生成のオン、オフの両方でフレームレートの計測を行った。結果は以下の通りだ。


・フルHD


・ROG Zephyrus G16(2025)・DLSSオン:80.85fps


・ROG Zephyrus G16(2025)・DLSSオフ:24.93fps


・ROG Zephyrus G14(2025)・DLSSオン:109.5fps


・ROG Zephyrus G14(2025)・DLSSオフ:24.37fps


WQHD


・ROG Zephyrus G16(2025)・DLSSオン:43.92fps


・ROG Zephyrus G16(2025)・DLSSオフ:9.14fps


・ROG Zephyrus G14(2025)・DLSSオン:61.71fps


・ROG Zephyrus G14(2025)・DLSSオフ:14.02fps


 DLSSの効果は大きく、高画質設定かつ高解像度でもそれなりに遊べるフレームレートが出た。


 WQHD解像度では少し映像がカクつくシーンもあったが、実際に遊ぶのであればもう少し軽い設定を選べば問題なく、モンスターハンターワイルズのように大きくVRAMが不足し、上位モデルと比べ動作が緩慢に感じてしまうようなこともないだろう。


 実際、ここまでのいくつかのテストでの差を考えると、GPU性能そのものは上位と比べ大きく劣るわけではない。ビデオメモリを大量に消費するようなゲームでは差が大きくなってしまうことだけ覚えておくといいだろう。


●薄型ボディーと発色のいいディスプレイは「クリエイティブ向け」にもピッタリ


 ここからは少々目線を変えて、ゲーミングPCではなく普通の高性能なノートPCとして、ROG Zephyrus G16(2025)の評価できるポイントを紹介していく。


 仕様で軽く触れているが、ROG Zephyrus G16(2025)のディスプレイは高解像度かつ発色が鮮やかな有機ELを採用している。


 規格でいえば映像製作向けの色空間である「DCI-P3」の100%カバーをうたうだけあって、画面の鮮やかさには見とれるほどだ。


 筆者は仕事と趣味の両方で外出先で写真を撮影する機会が多い。またそのまま撮影した写真をPCに取り込んで選別し、編集を行うことも多い。


 写真や動画を取り扱うとなれば、ディスプレイは鮮やかでないと思った通りの色を出すこともできないため、ROG Zephyrus G16(2025)の有機ELディスプレイは最適というわけだ。


 さらに編集ソフト、有名どころでいえばAdobeのLightroom ClassicやPremier Proといったソフトはさまざまな編集ツールが画面の上下左右に表示されるため、WQHD+の広い解像度は編集作業が行いやすい。


 16型という画面サイズも相まって、ドットバイドットでWQHD+の広さを存分に活用でき、外出先でのクリエイティブ作業にもとことん向いていると感じた次第だ。


 ROG Zephyrus G16(2025)のボディーは、ゲーミングPCと聞いて真っ先に思い浮かぶ武骨さや分厚いといったイメージとは真逆で、モバイルノートPCのように薄い。


 実際に筆者が取材や打ち合わせに持ち出しているモバイルノートPC(FMV LIFEBOOK UH)と比べてみると、厚みがほぼ変わらなかった。重量こそ約1.85kgとモバイルノートPCと比べれば重いのだが、16インチの高性能なノートPCとして考えると十分に軽い。


 薄型のバックパックへの収まりも良好で、可搬性は高い。さらにフルサイズのSDカードスロットやUSB Type-Cポート(USB4、USB 3.2)も備えているため、カメラからのデータ転送もストレスなく行える。


 ROG Zephyrus G16(2025)の基本性能の高さも相まって、重たい写真や動画の編集もサクサク進む。特に重たい動画の書き出しについても、アクションカムで撮影した4K動画を、複数本つないで30分弱の動画にするのにかかった時間は約6分と高速だった。


 ゲームはもちろんのこと、クリエイティブシーンでも好きな場所にいつもの環境を持ち出しやすい点はROG Zephyrus G16(2025)の強みだ。


●ゲームもクリエイティブも、気負わず気軽に満足できる1台


 ROG Zephyrus G16(2025)、そしてGeForce RTX 5070 Laptop GPUだが、2025年のゲーミングノートPCに求めたい基本的な性能、満足度は十分に満たせる1台だ。


 以前試したROG Zephyrus G14(2025)に比べると、16インチサイズで一回り大きい分なのか、GPUが1グレード下になるためか、どちらにしても本体温度の上昇は緩やかで、それでいてゲームもクリエイティブな作業も十分にこなせる。


 外観もゲーミングノートPCの武骨さはなく、キーボードバックライトや天板のエッジライティングも白色のみなので派手さもない。外出先で普通のノートPCとして使える点も評価できる。


 「ゲームもしたいが、普通に使えるノートPCがほしい」という人に特に向いた1台だ。



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