
(左から)貫井清一郎さん、笹川友里
貫井清一郎さんは一橋大学を卒業後、1988年にアーサーアンダーセンアンドカンパニー(現アクセンチュア)に入社し、2010年には執行役員 通信・メディア・ハイテク産業本部統括本部長に就任。2015年に日立製作所に入社後、エグゼクティブITストラテジスト、未来投資本部アーバンモビリティプロジェクトリーダ、執行役常務を経て2021年より現職。
◆“デジタル人材育成”で重要なこと
日立製作所では、デジタル事業やITに携わる複数の部門や子会社が国内外に存在し、それらが連携してデジタル人材を育成しています。その内容は、トレーニングコースを組んだり、ノウハウや経験の共有に加え、社員同士の交流も活発におこなうなど、ヨコ串を刺すように会社全体でデジタル人材を育てています。
AIやデジタル技術の進化が急速に進むなかで、「デジタル人材とそれ以外の人材でわけるべきではないと思っています」と貫井さん。日本では、2030年に約340万人、2040年には約1,100万人もの働き手が不足すると言われており、このような社会の課題に対しては、AIを活用した自動化が不可欠であるとし、「AIの力で仕事のスピードや正確性を上げて、自動化の比率も上げていくのは、社員全員が意識しなければいけないことです」と声を大にします。
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特に日立製作所は、鉄道やエネルギーといった社会インフラを担う企業のため、「それらに不具合がおきて動かなくなったりすると、社会的にもすごく大きな影響を与えてしまいます。なので、そのようなツールの選択は慎重にやらなければいけませんが、高いレベルでスピード感と慎重さのバランス取ることが、デジタル人材のとても重要な仕事なんじゃないかなと思います」と語ります。
◆“リスクマネジメント”にもAIを活用
続いて笹川が、「日立製作所が、これからも成長を遂げるために必要なデジタルの取り組みは何でしょうか?」と質問すると、貫井さんは「リスクマネジメント」を挙げ、「自然災害のリスクや社内における品質・コストの問題など、“リスク”は大きく、多岐にわたります。発生してしまった何かしらのリスクに都度対応していくのではなく、事前にリスクを評価して先に手を打つ。そのためにITやデジタル、AIをどう使っていくのか、というところも真剣に進めていかなければならない大きな領域だと考えています」と答えます。
これを受けて、「AIやデジタル技術の発展による複雑なリスクもありそうですね?」と笹川が懸念材料を挙げると、貫井さんは「コンプライアンスやフェイク情報にも注意が必要なので、大変複雑な舵取りになっているのは確かです」と所感を述べます。
◆貫井清一郎が考える“近未来の風景”
最後に“デジタル技術によって変わりゆく未来の姿”について尋ねてみると、「例えば『重たい物を運ぶ』『備品のストックを買いに行く』といった少々面倒くさく感じることが、基本的にデジタルですべて自動化される領域が増えることで、エネルギーをポジティブなものに向けられるのではないかと思います」と話します。
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そんな理想の未来を実現するためには、社会全体を支えるインフラが必要不可欠であるとも言います。「『電車が定時に動く』『物がちゃんと運ばれてくる』『電気が安定供給される』をファンダメンタルズ(国や企業の経済状態などを示す指標)として、そこを日立製作所が担えたら、というのが私の将来の理想像です」と明かしていました。
次回6月28日(土)の放送は、清水建設株式会社 取締役副社長DX経営推進室長の関口猛さんをゲストに迎えてお届けします。日本のスーパーゼネコンとして建設DXを推進する清水建設の取り組みについて伺います。
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
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