生活保護減額訴訟の最高裁判決を前に、取材に応じる原告の千代盛学さん=16日、愛知県刈谷市 生活保護減額訴訟の原告として5月に最高裁で意見陳述した千代盛学さん(71)=愛知県刈谷市=は、50代半ばで失明して勤務先を解雇された。生活保護を受けながら何とか暮らしてきたが、度重なる減額により、ぎりぎりの生活を余儀なくされている。国の対応を「弱い者いじめではないか」と訴え続けてきた。
大手電力会社の下請けの仕事をしていた千代盛さんは、会社の健康診断で糖尿病が判明した。しかし、休んで日当を得られなくなることを懸念し、通院をためらっているうちに症状が悪化。徐々に視力が落ちていったという。
会社から解雇され、失業保険を受給したが、就職先が見つからず1年半後に終了。やむを得ず生活保護を受給するようになった。
受給後の食事は1日2回だったが、減額された後は節約を強いられ、わずか1回に。入浴も湯船には漬からず、冬でもシャワーで済ませる。
出費を抑えるために「ほとんど外出しないようになった」と嘆く千代盛さん。「目が見えていたころは、ちゃんと税金も払ってきた」と振り返り、「この国の政治はどうなっているんだろう。僕らの生活の実態なんか分かっていない」と、最高裁の判断に望みを託していた。