“魅せる寿司”で世界に挑む 北九州市戸畑発「照寿司」三代目が切り拓く寿司屋の新境地

1

2025年06月28日 11:10  TOKYO FM +

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TOKYO FM +

“魅せる寿司”で世界に挑む 北九州市戸畑発「照寿司」三代目が切り拓く寿司屋の新境地
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00〜15:50)。6月22日(日)の放送は、寿司屋「照寿司」の三代目・渡邉貴義(わたなべ・たかよし)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)パーソナリティの小山薫堂、渡邉貴義さん、宇賀なつみ



◆“魅せる寿司”で人気の寿司屋に注目

照寿司は1964年に設立された、福岡県北九州市戸畑に根ざした寿司店です。1977年に同市で生まれた渡邉貴義さんは、幼い頃にフレンチシェフに憧れていたものの、大学卒業後に和食の道へ進みました。

3年間の修業を経て、家業である照寿司に入り、営業の仕事を経験。2013年、三代目を継承すると、食材と演出にこだわる“魅せる寿司”で一大改革を遂げ、店は地元・戸畑から世界へと名を広める存在へと成長していきました。

照寿司は創業61年。北九州市戸畑区で、祖父母の代から地域に根ざした仕出し店(注文を受けて料理や弁当を調理し、配達する店)として営まれてきました。現在は三代目の渡邉さんが店を受け継ぎ、伝統を守りながらも新しいスタイルを取り入れています。

店があるのは、小倉駅から車で15分以上かかるアクセスの場所にあり、観光地ではない場所です。それでも今では、世界中の美食家たちが照寿司を目指して足を運ぶようになりました。

◆SNSで店の魅力が知れ渡るようになった

もともとは地元密着の寿司店だった照寿司を、どのようにして世界に通じる店へと変えたのでしょうか。その原動力は、渡邉さんの「徹底的に調べ、実際に動いて、現地へ足を運ぶ」という姿勢にありました。

知見を広げるなか、渡邉さんが手応えを感じたのはSNSだったといいます。当初はデジカメで撮影した写真を投稿する程度でしたが、やがて海外からの反響が増えていきました。「最初は香港の方が多くて、月に4、5組来ただけで気持ちが盛り上がりました。『これは世界でも通用するぞ』とちょっと勘違いしていたと思います」と振り返ります。

小山の「お店の変化にお父さんは戸惑いませんでしたか?」という質問に、渡邉さんは「毎日“いつまで続くのか”という目で見られていました。今は一線を退いているんですけども、たぶん喜んでくれていると思います」と笑顔で返しました。


渡邉貴義さん



◆独特な提供スタイルを貫くのは大変だった

番組では、渡邉さんが実際に寿司を握る場面があり、中トロと大トロの天然本マグロと、6月1日から提供が始まったばかりの山口県産の「萩の赤ウニ」を振る舞いました。

渡邉さんの寿司の提供には、演出の要素が加わっています。「どぅ〜ぞ!」という決まり文句とともに出される“ドヤ顔”はまさに名物。自らセルフプロデュースをおこない、海外ゲストにも伝わるユニークなスタイルとして定着しています。さらに、寿司そのものも絶品。小山は「人生で食べたなかで一番おいしいウニです!」と激賞していました。

この演出スタイルは、保守的な寿司業界で批判の的になることもありました。「始めた当時は、日本で一番カウンター越しに酒の肴にされました」と渡邉さんは笑いながらも、当時の悔しさが「“あの人の寿司が食べたい”と言われる存在になりたい」という原動力になったといいます。匿名掲示板での批判に傷つきながらも、反骨心を持って挑み続けた結果、アンチもファンも受け入れられるようになったと語っていました。


渡邉貴義さんが握った「萩の赤ウニ」のお寿司



◆戸畑で寿司を握り続ける理由

今後、国内外で5店舗のオープンが控えている照寿司。それでも、渡邉さんは「戸畑から誕生した照寿司」というストーリーを大切にしたいという思いから、これからも戸畑で寿司を握り続けます。「僕のことを信じてくれた家族や弟子たちに恩返しといいますか、誇れるような存在になりたいです」と話します。

北九州市は、寿司を新たな観光資源として活用する取り組みを推進しており、「すしの都」としてアピールしています。「北九州市のみなさんをさらに巻き込んだ寿司を握っていきたいと思っています」と渡邉さん。

これまでの活動を振り返り、渡邉さんは「続けることが何よりも大切」だと実感したと話します。昔から、どんなときでも全力でゲストをもてなす姿勢を貫いており、「おいしいの先に楽しいもある」と考えます。「60年間培った技術と仕入れ先もありますので、それを超越した、(おいしさの)次元を超えた何かを届けたいです」と話す渡邉さんには、料理人という枠を超えた大きな思いが込められていました。

番組のテーマである「手紙」にちなみ、渡邉さんから北九州で手紙が書きたくなる場所を尋ねると、「北九州市立美術館」を挙げてくれました。建築家・磯崎新が設計したその建築は、まるでトンボの顔のような独特な外観が印象的です。かつて併設されていたカフェは、特に心が落ち着き、手紙を書きたくなる空間だったと懐かしそうに語っていました。

番組では、渡邉さんが妻に向けて手紙を読む場面がありました。ぜひ、放送をチェックしてください。


----------------------------------------------------
この日の放送をradikoタイムフリーで聴く
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00〜15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/


動画・画像が表示されない場合はこちら

    前日のランキングへ

    ニュース設定