
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
6月21日(土)の配信では「瞑想」に関する質問に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
私は瞑想に関心があり、本を買ってチャレンジしているのですが、うまくいきません。
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<茂木の回答>
瞑想(メディテーション)ですね。伝統的には座禅などで修業としてされる方もいらっしゃいますし、ヨガなどでも健康法として瞑想を取り入れているものがありますよね。脳科学の世界では「マインドフルネス」という言葉が使われることがあります。
これは脳がどういう状態なのかというと、自分の外側や内側にあるさまざまなものに気づくこと、そして、それを受け入れること、これがマインドフルネスです。
僕もそうですけれど、現代人の我々は普段、パソコンやスマホの画面をずっと見ている、いわゆるスクリーンタイムが長くなっているじゃないですか。あのときはスクリーン以外のことは忘れてしまっていますよね。つまり、あの状態はマインドフルネスではないんです。
マインドフルネスというのは、自分を包む全体を受け入れるということ。これがなぜ必要なのかというと、もともと脳のなかにデフォルトモードネットワークという、脳が休んでアイドリングしているときに活動する回路があり、この回路が瞑想・マインドフルネスのときに活性化すると考えられています。この回路はスクリーンを見るなどの具体的なタスクをしているときではなく、脳が「何もしなくていいよ、今ここにいることに没頭していいよ」というときにだけ活動する回路なんです。
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では、どうすればそれができるようになるのかということですが、よく言われるように、最初は森のなかで実践するのがいいでしょう。森林浴という言葉があるように、最初に実践するにはいいところだと考えられています。というのは、森は周りの環境の情報が心地よいものなんですよね。それに目を向けることが動機づけとして起こりやすいわけです。木漏れ日とか、木々の葉のさざめきとかに耳を傾けると気持ちがいいじゃないですか。そうすると自然に自分の周りの全体に対して心を向けるような脳の働きが起こりやすいのです。
それから温泉なんかもよくあげられます。温泉にゆったりと浸かっていると、自分を包むものがすべて心地いいわけですから、マインドフルネスの状態になりやすい。いわゆる禅寺でお庭があって、その前で座って座禅するのも、やっぱり周りの環境が気持ちいいですから、そういう状態になりやすいです。深呼吸もよく言われますよね。自分の内なる状態、呼吸の様子に目を向けて、それを包み込むように自分のものにするとマインドフルネスの状態になりやすいです。
手軽なやり方としては、歩行禅(ウォーキングメディテーション)があります。僕もよくやっていますが、近くをぼーっと散歩するだけでもマインドフルネスの状態は実践できると考えられていますし、ランニングでもそういう状態にすることはできますので、いろいろ工夫していただくのがいいかと思います。自分の周りや環境に目を向けることが瞑想・マインドフルネスですので、「何か特定のことをしなくちゃいけない」という考えから解放されて、少しずつ練習してみてください。たまには旅先など、違った環境で実践してみるのもいいかもしれませんね。
僕は歩きながら瞑想をすることが多いのですが、うまくいくと、今まで感じたことがないような感覚に気づくこともあります。昔から瞑想というのは創造性、クリエイティビティと非常に深く結びついてきているので、ひょっとしたら瞑想によって人生を変えるようなひらめきに出会えるかもしれませんね。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745
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