「7月5日に何かが起こる」──そんな噂がネットを中心に広がり、外国人が相次ぎ日本旅行をキャンセルしたり、気象庁長官が「そのような予知の情報はデマと考えられる」と述べたりと世間を騒がせています。そして、この噂をモチーフにした映画「2025年7月5日午前4時18分」が公開されました。ボクも気になって劇場に足を運びました。
本題からは逸れますが、ネットで流れる噂の元ネタになったのは、予知夢について扱った、マンガ家・たつき諒さんの「私が見た未来」(飛鳥新社刊)です。もとは1999年に発売された本で、一度は絶版となっていたのですが、表紙イラストに「大災害は2011年3月」と書かれていたことで、出版から十数年も経ってから注目を集めることになりました。
私が見た未来は、21年に“完全版”として復刊され、新たな予知夢も紹介されました。それが「本当の大災難は2025年7月にやってくる」というもの。7月5日という日付が一人歩きしていますが、これはたつきさんが21年7月5日の早朝に夢を見て、それを日記に記したのが午前4時18分だったため──と完全版を持っているボクの担当編集者が話していました。
●実は本とは無関係
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さて本題です。今回の映画、いかにもなタイトルが付いていますが、実はたつき諒さんの本とは無関係だと知って驚きました。映画公式サイトでは、紛らわしい作品紹介を書いたと謝罪しています。では、映画はこの噂をどのように扱っているのでしょうか?
映画は、あくまでも7月5日に関する噂を基にした“都市伝説ホラー”。「7月5日に何かが起こる」という噂が広がる中、同じ7月5日が誕生日の主人公・原ハルカとその周囲の人々が怪奇現象に巻き込まれていく……というのが今作の大まかなストーリーです。
ただ、正直言ってボクには何が何だかよく分かりませんでした。怪奇現象とハルカ、そして怪奇現象と都市伝説との因果関係が劇中で全く説明されないため、とにかく「訳が分からないけど何か怖いことが起こる」という状況が続くのです。マンガで詳しく書いていますが、登場人物の行動も物語を都合よく進めるために無理やり動かされているようにしか見えず、ボクは終始ポカンとしながら映画を見ることになりました。
また、個人的に一番気になったのは、実際の災害の映像を作中で使用していたことです。そういった映像が出てくることは映画公式サイトにも書いてありましたが、それが本筋に大きく関わるのならいざ知らず、7月に起こると噂される大災害と結びつけるためだけに使用されているように見えて、個人的には不快でした。気になる人は相当の注意が必要です。
とはいえ、映画には“訳の分からない怖さ”というものが間違いなくありましたし、何より主演の小栗有以さんの美しさはスクリーンでも際立っていました。あくまで都市伝説を題材にしたフィクションとして楽しめるならありかもしれません。また、7月の噂についても過剰に反応したりはせず、それでも防災意識は普段からしっかり持っておきたいものだと思いました。
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●著者紹介:サダタロー
1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。
●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場
漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。
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