「ワンルームマンションばかりに投資をして大丈夫?」37戸所有、年収4000万円の不動産投資家が理由を解説

2

2025年06月30日 09:20  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

画像はイメージです
―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―
東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開。現在、37戸の物件を所有し、時価資産額約10億円、年間家賃収入約4000万円の個人投資家・村野博基氏。不動産投資をするなかで「ワンルームマンションばかりに投資して大丈夫?」という疑問を投げかけられることもあるそう。その疑問に対して答えつつ、不動産投資を「負けない投資」にする方法を語ります。

◆不動産投資家は2パターンに分かれる

私が不動産投資で37戸を所有し時価資産総額約10億円、年間家賃収入約4000万円であるという事実を伝えると「そんなにワンルームばかりを所有していて大丈夫なのか?」という指摘をもらうことも多々あります。「これだけ物件を持っているのだから、借入も多いのでは?」「返済に追われてほとんどキャッシュフローが回っていないのでは?」という思惑からでしょう。

バブル期に「不動産投資で損をした」という事例を見聞きしたからか「借金をして不動産を買う」ということに抵抗がある方が多いのかもしれません。しかし、現在はバブル期の経験もあり、金融機関も不動産を持っているからといって無尽蔵に融資をするわけではありません。個人で自宅を買って住宅ローンを組む際の目安は、年収の5〜7倍までとされています。同じように不動産投資を行う際にも、購入する人の年収、年齢、物件の価格や設備などから、金融機関が融資できる金額や期間といった条件は変わってきます。

そもそも不動産投資家の物件の買い方は大きく分けて2パターンに分かれます。「現金で買う人」「ローンを組んで買う人」です。もちろん現金で購入すれば、家賃さえ入ってくればリスクはゼロです。よく「物件がボロボロになるリスクがあるじゃないか」と心配される方もいます。しかし、明日すぐにボロボロになるわけではないので、時間をかけてきちんと管理すれば良いだけの話です。極端な例ですが、築90年以上経過しているアメリカのエンパイアステートビルはまだまだ現役です。ビルやマンションは「必ずボロボロになる」わけではありません。ですから、私は管理を大事にしています。

◆不動産はお金を刷る輪転機

そもそも私は「不動産はお金を刷る輪転機」だと捉えています。せっかく輪転機を購入しても「メンテナンスをしない」と、機械はそれほどもたずにどこか不具合を起こしお金を刷れなくなります。お金を生み出してくれる不動産の管理に無頓着であるのは「メンテナンスをしないで輪転機を動かす」のと同様で、非常にもったいないことなのです。

一方で、全額現金で購入すると資金効率は悪くなります。ですから、よほどお金が余っている人でもない限り、銀行からの借入を活用することが資産の拡大には大事なポイントです。

私は不動産投資の大きなメリットの一つは「借入を活用する」ことにあると考えています。他の金融商品で、これだけの低金利で借入をして投資できるものはなかなか見つかりません。ただし効率だけを追い求めて「できるだけ借入する」という買い方も大変危険です。借入は資産拡大を効率的に進められる一方で、リスクも効率的に拡大していきます。例えば、突然貸し手が「金利を上げる」と言い出して、返済額が家賃収入を大きく上回ると破綻まっしぐら。働いて稼いだお金で返済をするしかなく「何のために投資をやっているのか?」という状態に陥ってしまいます。

借入を活用しながらも、一方で借入はコントロールできる範囲内で行うこと。その両方の視点で取り組む必要があります。借り方はその時々のご自身の資産状況や融資が受けられる枠によって額や期間などで変わってくるのです。

◆避けるべきは「資金を寝かせること」

ローンを組むときに「利息がもったいないから早く完済したい」と借入期間を短い期間で設定すると、当然月々の返済金額は増えてしまいます。そして、家賃収入以上の金額を毎月返済すれば、もし自身に何かあった場合には返済ができなくなります。昨今では返済期間の設定は、物件にもよりますが35年とすることも可能。ですから、長期間の借入にすれば月々の返済額を減らすことができます。頭金を準備して毎月の返済額を調整し返済額が家賃収入以下にすると、不動産投資が「自走」する形になります。この状況に持ち込めば、たとえ物件価格が高かったとしても時間が取り返してくれる「負けない不動産投資」になります。

私の場合は、手元に資金がないときにはもちろんローンを組んで物件を購入しますが、資金があればできる限り使って購入しています。私が一番避けたいのは「資金を遊ばせておくこと」です。なので「借りられるから借りて、現金を手元に残す」という戦略は取っていません。

そもそも投資とは「元本×利回り」でリターンが決まります。つまり、資金を投下せず借入のみで投資を行った場合には、元本が少ないのでどんなに効率を上げて利回りを良くしたとしても資産自体は増えません。400万円の利回り15%は60万円ですが、2500万円の利回り4%では100万円と、リターンの額は後者のほうが大きくなるのです。

◆借入額をコントロールできれば、借金のリスクは顕在化しない

大事なことは「借金をするか否か」ではなく、「どれだけ借金をするか」という額の問題です。コントロールできている借入と、コントロールできていない借入の意味合いは大きく異なります。同じ1000万円を借りるとしても、年収1億円の人が借りるのと年収100万円の人が借りるのではその影響は全く変わります。キャッシュフローさえプラスであれば、その状態が安定している限り借入のリスクは顕在化しないのです。

ちなみに私の現在の借入総額は自宅の住宅ローンも含めて1.5億円程度です。20年以上くるくると「入ってきたお金を再投資にまわす」ことをし続けた結果、家賃収入を現在の市況に合わせた利回りで割り戻した不動産の時価と、ペーパーアセットの合計で約10億円程度の資産になっています。

私自身は特に大したことをしているわけではありません。派手な戦略や突飛なアイデアを実践したわけでもなく、タイパとコスパを徹底したわけでもありません。地味にコツコツと積み上げてきた、ただそれだけです。当然、最初からこの規模を目指して不動産投資を始めてはおらず、結果的にこの規模になっていました。

ゆえに「結果は出すものではなく出るもの」と考えています。適正な戦略と行動が取れて、それを継続し続ければおのずと結果はついてくる。そう信じています。

もちろん、20年前に不動産投資を始めたときには、現在よりも不動産の価格が低かったので、時代が味方してくれた部分も否めません。しかし、もし時代が味方してくれなかったとしても、「キャッシュフローがプラスの状態を維持し、その資金を再投資に回すこと」を続ければ、資産は加速度的に増え続けるます。私はこの規模になるまで20年かかりましたが、その期間が伸びて30年になるだけの話だと考えています。

<構成/上野 智(まてい社)>

―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―

【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)

このニュースに関するつぶやき

  • 「そんな投資で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

前日のランキングへ

ニュース設定