ロッテ・田村龍弘[撮影=岩下雄太]※撮影=24年2月9日 ロッテの田村龍弘は今季、高卒2年目・寺地隆成の台頭もあり、一軍出場はここまで9試合にとどまっている。6月の出場機会は2試合だったが、与えられた出場機会で、きっちりと役割を果たした。
13日のヤクルト戦、4−4の5回からマスクを被り、八木彬(1回・無失点)、横山陸人(3回・無失点)、鈴木昭汰(1回・無失点)の5イニングを無失点に抑える好リードを見せ、4−4の8回一死走者なしで内山壮真が放った一塁ベンチ横のキャッチャーフライをフェンスを怖れることなくスライディングキャッチ。同試合は4−4の9回に暴投でサヨナラ勝ち。その陰に5回からリリーフ陣を無失点に導いた田村の存在があったからこそ勝利に繋がった。
6月22日のDeNA戦は序盤から乱打戦となり、10−9となった6回裏からマスクを被り、横山(2回・無失点)、鈴木(1回・無失点)、中森俊介(1回・無失点)のリレーで、4回と5回に3点ずつ挙げていたDeNA打線を、6回以降無安打と完璧に封じ込んだ。
「今寺地がレギュラーとして試合出ている中で、去年は佐藤でしたけど、どうしても出場機会が減っている中で少ないチャンスは巡ってくる。僕としてはそこで活躍するとかじゃなくて、最低限求められているところがあると思います」。
「そこで期待に応えようとかじゃなくて、やるべきことをやることが求められていると思います。途中から行くからといって、特別違うことをするわけではなく、普通に普通のプレーを当たり前にやることが難しいんですけど、普通にやらないといけない立場になっていると思うので、シンプルにやっているだけですね」。
常に試合に出てもいい準備をしているからこそ、結果を残せている。ベンチではどう戦況を見つめているのだろうかーー。
「“自分だったらこれを要求するな”、“自分だったらこうするな”、そういうふうに寺地の配球を見ながら自分だったらこうする、“俺と同じようなことしているな”、“でも打たれたな”、“だったらこっちの方が良かったな”とか、自分の配球プラス寺地の配球を見ながら、寺地とあった時に打たれる時もあるし、寺地と違う配球をして抑えることもあるし、そういうふうにみて、今日の相手バッターの調子とか確認しながらやっていますね」。
出場機会が少なく、ファームの試合に出場することもある。
「ファームに行ってるのは、試合数とかが減っているという意味で試合感覚だとか、そういうところだと思います。ファームに行った時はサブローヘッドにただ単にやるのではなくて、打たれようが何しようがいいが丁寧にやれと言われていたので、丁寧にやることだけ考えてやっていますね」。
一軍の公式戦通算1000試合出場まで、残り19試合に迫っている。
「そこは怪我せずにやることをしっかりやっていれば、いつか出られる数字だと思うので、特別絶対今年中にというわけにはならないと思うので、出るところでしっかり出るというところですね」。
寺地の台頭だけでなく、藤原恭大、友杉篤輝、山本大斗、西川史礁、中森俊介、田中晴也、木村優人とチーム全体が若返っている。田村よりも年下の選手が多い中で、チームの中でどのように振る舞っているのだろうかーー。
「まだまだ負けていられないという気持ちはありますけど、現状自分の立場としては、寺地がずっと試合に出ているわけなので疲れが溜まる時期だと思うし、寺地の調子が落ちてくる時があると思います。その時にパッといけと言われた時に、当たり前のようにできるようにというところですかね。今は寺地が頑張っていますけど、寺地が疲れてきた時にカバーしてあげるのが大事だと思うので、去年もそうでしたけど、本当にそういうところかなと思いますね」。
パッと出場機会があった時に、結果を残すのは難しいはずだ。チームに求められたことを、さらっとやってのけるのが田村龍弘の凄さ。ペナントレースはまだ半分以上残されている。いつどこでチャンスが来てもいいように、“準備”はできている。
取材・文=岩下雄太