4月に東京都で「カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行され、企業のカスハラ対策が強く求められている中、約4割の企業で「正当なクレーム」と「カスハラ」の線引きがあいまいな実態が浮かび上がった。コミュニケーションプラットフォームなどを提供するシンカ(東京都千代田区)が、「カスタマーハラスメント実態調査」を行った。
【グラフ】自身または同僚、部下がどのようなカスハラを受けたか
正当なクレームとカスハラの線引きについて、「あまり線引きされていない」「まったく線引きされていない」と感じている組織が合計で42.8%に上った。
「どのようなカスハラを受けたか」聞いたところ、「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」が最も多く46.6%だった。「名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」(41.6%)、「著しく不当な要求」(26.8%)が続いた。
カスハラを受けた後は「会社の上司に相談した」人が最も多く、50.1%だった。一方で「何もしなかった」人は11.4%だった。
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「どのようなカスハラ対策が効果があると思うか」では、「カスハラ問題に専門的に対応する部署・チーム等の整備」(54.3%)が最も多く、「録音・録画機器の導入」(46.6%)、「従業員向けの研修や教育」(45.7%)、「カスハラ対応ポリシーや対応マニュアルの策定」(45.4%)が続いた。
従業員保護と顧客満足のバランスについて、「両立できない」と回答した154人に、両立のために必要な施策を聞いたところ、「クレーム対応のガイドライン整備と明確化」(44.8%)と「カスハラ対応専門窓口の設置」(35.1%)と回答した人が多かった。
「従業員保護と顧客満足のどちらを優先しているか」に対しては、経営層(取締役以上)では「従業員保護を優先」が52.8%、「状況に応じてバランスを取っている」が30.0%、「顧客満足を優先」が11.4%だった。一方、現場(部長以下)では「従業員保護を優先」が27.9%、「状況に応じてバランスを取っている」が35.2%、「顧客満足を優先」が25.8%となった。
「従業員保護」の観点では、経営層と現場で20ポイント以上の差があったことが分かった。シンカは、「経営層が従業員を守っている“つもり”でも、その意識や施策が現場に十分伝わっていない、あるいは機能していない可能性」を指摘した。
本調査は6月9〜10日、企業に勤務しており、過去3年間に自身、同僚、部下のいずれかが顧客対応中にカスハラを受けた20〜69歳の男女519人に対して、インターネットで実施した。
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