活動報告の記者会見をする官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)の志賀俊之会長(左)と勝又幹英社長=30日、東京都港区 今年3月末に活動を事実上終了した官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)は30日、設立から約16年間で差し引き1兆円超の利益を出したと発表した。投資元本1兆2823億円に対し、回収額は3月末時点で2兆3260億円。トータルの収支はプラスだが、中小型液晶メーカーのジャパンディスプレイ(JDI)再建は未達で、民業圧迫や個別企業救済の批判も付きまとった。
INCJは、優れた技術力を持ちながら業績不振に陥った企業の再編や、革新的技術の事業化支援を目的に2009年に設立。投資先の収益力を高めて株を売却し、資金回収を目指した。18年に産業革新投資機構(JIC)に役割を引き継ぎ、20年に新規投資は終了。30日付で志賀俊之会長と勝又幹英社長は退任、解散に向けた業務を行う。