今週デビュー予定のアランカール(撮影:井内利彰) 先々週の阪神芝1400mで行われた新馬戦を勝ったタイセイボーグ(栗東・松下武士厩舎)は新種牡馬インディチャンプの産駒。先週は同じくインディチャンプ産駒フィオラーノ(栗東・吉田直弘厩舎)が函館芝1200mで新馬勝ちを決めている。
どちらも栗東での調整を見ていたが、タイセイボーグは牝馬でも逞しい馬体で父の馬体的な特徴がよく表れていた。フィオラーノは430キロ台の馬体重も示しているように体つきに関してはあまり父のイメージがなかった。ただ、どちらも追い切りでの動きは目立っていて、父の現役時代同様、追い切りで動く=レースで結果が出るというタイプなのかも知れない。
【7月5日(土) 小倉芝1200m】
◆フルムーン(牡、父ロードカナロア、母ムーンライトベイ、栗東・藤岡健一厩舎)
半姉に桜花賞2着、秋華賞3着のGI実績があるシゲルピンクダイヤ(父ダイワメジャー)や2021年フィリーズRを勝ったシゲルピンクルビー(父モーリス)がいる血統。いろんなタイプのきょうだいがいる血統だが、距離の守備範囲は広い。
本馬は2024年北海道セレクションセール1歳にて、5000万円で落札。4月24日にゲート試験を合格した後、軽く時計を出して放牧。その後、6月に栗東へ帰厩して、坂路で追い切りを開始。6月25日の1週前追い切りでは、3歳未勝利を追走してあっさりと先着。4F52.7秒、2F24.8秒、1F12.2秒をマーク。藤岡健一調教師は「距離は少し短いかも知れないけど」ということだったが、そのあたりは先週の金曜日にゲートから軽く時計を出して対策済み。鞍上は高杉吏麒騎手が予定されている。
【7月5日(土) 福島芝1800m】
◆アランカール(牝、父エピファネイア、母シンハライト、栗東・斉藤崇史厩舎)
半兄に芝で3勝を挙げたセブンサミット(父モーリス)、そして母は2016年オークスを制したシンハライト(父ディープインパクト)という血統。ちなみにシンハライトの半妹スリーパーダ(父ミッキーアイル)は斉藤崇厩舎で管理され、芝で3勝を挙げている。
本馬は5月29日にゲート試験を合格。通常なら一旦放牧に出るパターンだが「デビューを前提に在厩で進めていきます」と斉藤崇史調教師。このあたりの判断がさすがに的確というか、追い切るごとに走りの質が向上しており、6月18日のCWではタガノエルピーダと併せて手応え劣勢でも同入に近いところまで食い下がった。そして、1週前追い切りの6月26日のCWでは北村友一騎手が跨って、3頭併せを最先着。「走りのバランスがすごく良かったですね」と同師。馬体は線が細く、そこだけが懸念材料だが、走行性能はトップクラスだろう。
【7月6日(日) 小倉芝1800m】
◆フォーゲル(牡、父アルアイン、母エリカポンシャン、栗東・斉藤崇史厩舎)
母系にシュヴァルグラン、ヴィブロス、ヴィルシーナといったGIホースがいる、ハルーワスウィートの一族。本馬は2023年セレクトセール当歳にて、3000万円で落札されている。
本馬は3月に栗東へ入厩してゲート試験を合格。その後も坂路を中心に追い切りを積んでいて、4月9日の時点で2F24.8秒、1F12.1秒という時計をマークしていた。そういった下地がありつつ、今回の入厩ではCWでの追い切りを中心に消化。6月25日のCWでの1週前追い切りはレースでも騎乗予定の団野大成騎手が跨って、最後方から追走して、きっちり追いついて6F84.4秒をマーク。「まだ自分から走る気持ちが乏しいですが、追うごとに良くなっていますね」と斉藤崇史調教師。
【7月6日(日) 函館芝1800m】
◆オアシスアラン(牡、父レイデオロ、母オアシスクイーン、栗東・高柳大輔厩舎)
きょうだいのモカラエース(父ヤマカツエース)、オアシスドール(父キタサンブラック)、モカラマーズ(父アドマイヤマーズ)はみな、同厩舎で管理されている。
本馬は5月2日にゲート試験を合格しているが、その後もずっと栗東に在厩して調整。坂路中心ではあるが、追い切るごとに時計を詰めていて、6月18日の坂路では4F52.1秒、2F24.7秒、1F12.4秒と優秀な時計で動いている。その後、函館競馬場へ移動して、6月25日にはレースでも騎乗予定の鮫島克駿騎手が跨って、函館Wで併せ馬。きっちり先着しているが「追わせる馬ですね」と高柳大輔調教師。初めての小回りの追い切りもあったと思うので、最終追い切りの動きにも注目だろう。
(取材・文:井内利彰)