米連邦議会議事堂=ワシントン(AFP時事) 【ワシントン時事】米上院は30日、トランプ大統領の「看板政策」である大型減税を含んだ法案の審議を続けた。与党共和党の財政規律派は一段の支出カットを求める一方、穏健派は低所得者向け医療制度「メディケイド」の行き過ぎた削減に懸念を強めており、可決のめどは立っていない。
トランプ氏と共和党幹部は、米独立記念日となる7月4日までの議会通過を目指す。上院は6月28日から週末返上で、最終的な採決に向けた手続きを急いできたが、共和党内の対立に加え、野党民主党も徹底抗戦。民主党の求めで、940ページに及ぶ膨大な法案が約16時間かけて読み上げられた。修正案も相次ぎ提出されており、手続きは遅々として進んでいない。
下院は5月に大型減税関連法案を可決済み。これを修正した案を上院が審議している。このため、上院で承認されても、下院で再び可決する必要がある。共和党は上下両院とも僅差の過半数しか占めておらず、議会通過には党の結束が不可欠だ。
法案では、飲食店従業員らが受け取るチップの税額控除など、トランプ氏が昨年秋の大統領選で掲げた減税がほぼ網羅された。一方、減税の財源として、メディケイドが大幅な削減対象となった。メディケイドには地域医療を支えている側面もあり、一部議員らの懸念は根強い。
議会予算局(CBO)によると、上院の修正案では2034年度までに財政赤字が約3兆2500億ドル(約470兆円)増える。下院案の約2兆8000億ドル増より赤字は膨張する見通しで、共和党上下両院の財政規律派の反発は必至だ。
5月末にトランプ政権を離脱した実業家イーロン・マスク氏はSNSで、法案について「明らかに常軌を逸した支出だ」などと批判した。