
夏の短い期間にだけ登ることができる山には、特別な魅力があります。雪解けを待ってようやく姿を見せる高山植物、夏でも残る雪渓、そしてその季節にしか開通しない登山道。そんな夏限定の条件がそろう山にこそ、心を揺さぶられる絶景と出会えるチャンスがあります。
今回は、登山好きライターの筆者が実際に「登って良かった」と感じた日本百名山を3座ご紹介します。それぞれの山に登るうえで役立ったおすすめの登山グッズもあわせて紹介するので、次の山旅の参考にしてみてください。
●行って良かった「夏にしか登れない日本百名山」:燧ヶ岳(福島県)
尾瀬国立公園内に位置する、福島県最高峰・燧ヶ岳(ひうちがたけ)。尾瀬の静けさに浸りながら、山頂を目指す登山は、夏期だけの特別な体験です。というのも、尾瀬につながる道路は毎年11月から4月ごろまで冬季閉鎖となり、このルートに挑めるのは限られた季節だけだからです。
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筆者が2024年に歩いたのは御池登山口からのルートで、序盤はなだらかな森の中を進みますが、途中からはぬかるみや岩場が続き、足元に集中する時間が増えていきました。
そんな中、広沢田代に差しかかると、木道の両脇に池塘(ちとう)と高山植物が広がり、まるで絵本のような風景が広がります。熊沢田代から見上げる燧ヶ岳の姿も印象的で、思わずその場で深呼吸していました。
そして、山頂からは至仏山や尾瀬ヶ原、尾瀬沼まで見渡せ、登ってきた疲れが一気に吹き飛ぶようでした。足場の悪さや急登には備えが必要ですが、その先に広がるパノラマの絶景は一見の価値があります。
●行って良かった「夏にしか登れない日本百名山」:富士山(山梨県・静岡県)
言わずと知れた日本一の標高を誇る山。筆者が登山という世界に足を踏み入れるきっかけとなったのが、夏の富士登山でした。挑戦できるのは、7月上旬から9月上旬のごく短い期間だけ。閉山期間中は、天候が急変しやすく遭難リスクが高いため、推奨されていません。
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筆者が選んだのは、富士スバルライン五合目を起点とする吉田ルート。山小屋やトイレが充実しており、初心者でも安心して臨める道です。とはいえ、片道およそ7時間の道のりは登山初心者にとっては決して楽ではなく、自分自身との対話の連続でした。
しかし、急に雲が晴れ、眼下に山中湖や河口湖、奥秩父の山々が現れたとき、その苦労がすべて報われたと感じました。山頂に立った瞬間の達成感と、心の底から湧き上がる感動は、今でも忘れられません。
富士山は人気な山とだけあって、ツアーやウェア・装備類のレンタルサービスが多くあるのも魅力。登山に初挑戦する人は、それらを利用するのがおすすめです。
●行って良かった「夏にしか登れない日本百名山」:立山(富山県)
富山県に位置する立山は、雄山(約3003m)、大汝山(約3015m)、富士ノ折立(約2999m)の3峰からなる名峰です。中部山岳国立公園を代表するこの山は、登山適期が限られており、玄関口となる室堂へ通じる「立山黒部アルペンルート」は冬季(12月〜4月)に閉鎖されます。
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筆者が歩いたことがあるのは、室堂から雷鳥沢へ向かい、そこで1泊してから雄山を目指すルートです。夏でも雪渓が残り、涼風に包まれながらの登山はまさに別世界。登るほどに高山植物が増え、雷鳥に出会えたのもうれしいサプライズでした。
山頂からは剱岳や別山をはじめ、北・中央アルプス、さらには遠く富士山までを見渡せる大展望が広がり、しばし立ち尽くすほどの感動がありました。眼下に広がる室堂平や夏の草紅葉も見応え十分。体力に応じて立山三山縦走を楽しめるなど、選択肢の広さも魅力の一つです。
●日本百名山登山におすすめのグッズ
スポルティバ トラバースX5 ゴアテックス
岩場の多い山では、硬いソールのトレッキングシューズを履きましょう。
パーゴワークス ゼン35
2025年に登場したばかりのザック。軽量性と耐久性に優れ、さらに体への負担も少なく設計されています。
キウ プロテクトハット
夏の高山はとにかく日差しが強いので、紫外線対策をバッチリしておきましょう。
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