ふわり、と柔らかいキータッチが指先を包み込むLofree(ロフリー)のキーボードは、ロープロファイル(薄型)なのに、メカニカルや静電容量無接点方式のキーボードと比較しても魅力たっぷりなところが、キーボード沼にハマった人々の間でウケています。
「退屈な日常から抜け出し、あなたの2m2の空間を彩る」──Lofreeでは、そんなテーマを念頭に製品開発が行われているそうですが、同社の最新作であるキーボード「Flow 2」を事前に試す機会に恵まれたので、レポートをお届けしましょう。
一言でまとめると「1点だけを除いて、最高レベルで気に入った」。これはもう。購入決定です。
Flow 2はBluetooth/2.4GHzワイヤレス/USB有線による接続に対応しています。日本国内で無線機能を使うための技適は申請中とのことなので、レビューは有線接続でのみ行っています。
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●アルミで覆われたスタイリッシュなキーボード
一見するとApple製品のような雰囲気があるFlow 2は、アルミブロックからCNCで削りだされたケースに、ロープロファイル用のメカニカルスイッチとキーキャップが組み合わされています。
初代の「FLOW」もアルミケースが使われていましたが、印象は大きく違います。Lofreeはミニマリズムを色で表現するように設計されたアイテムを多く開発してきており、初代FLOWも球状の窪みのあるスフェリカルタイプのキーキャップを採用し、エッジに丸みを持たせるなどの加工が施されてきました。
一方で、Flow 2は下側から指を伸ばした時にフィットしやすいシリンドリカル(円柱状)タイプに変更されています。サイズ、というかキー数の違いで3タイプが用意されるのもFlow 2の特徴です。
以下はフルサイズキーボードの96%配列となる「Flow 2 100keys」です。テンキーとファンクションキーが備わっています。テンキー付きキーボードとしてはスペースファクターに優れた配列ですが、基本的にはオフィスや自宅に置いて使うキーボードですね。
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75%配列の「Flow 2 84keys」はファンクションキーつきのミドルサイズ。
65%配列の「Flow 2 68keys」は、極力キー数を減らしてフットプリントをコンパクトにしたモデルになります。
カラーはスペースグレーとシルバーから選べます。スペースグレーはキーキャップが黒で統一されていますが、キートップの文字や記号が見にくいと感じるかもしれません。
とはいえご安心ください。バックライトが明るくキー表面を裏面照射してくれます。写真では分かりづらくて申し訳ないのですが、暗い場所でもキートップがくっきりと見えるため、照明をつけられない環境でも無理なく入力できます。なお、Lofreeによればバックライトの光を通すための開口部は、前モデル比で3.2倍に拡大したそうです。
従来のLofreeキーボードと同様に、ガスケットマウントが採用されています。ロープロファイルキーボードとしては柔らかさと剛性感が高いレベルで両立しており、底付き前の文字入力がしやすいし、底付きするまで押し込んだとしても指の先に伝わる衝撃は控えめです。
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普段は静電容量無接点式キーボードや、ロープロファイルではないのメカニカルキーボードを使っている立場からしても慣れやすいと感じました。
キースイッチは、以下の3タイプから選べるようになっています。至れり尽くせり過ぎませんか。
・SURFER(スムーズな打ち心地)
・スイッチ特性:リニア 68
・押下圧:40±10gF
・キーストローク:2.8±0.25mm
・アクチュエーションポイント:1.3±0.30mm
VOID(SURFER+サイレントタイプ)
・スイッチ特性:リニア
・押下圧:40±10gF
・キーストローク:2.8±0.25mm
・アクチュエーションポイント:1.3±0.30mm
PULSE(コリっとしたキータッチがある)
・スイッチ特性:タクタイル
・押下圧:40±10gF
・キーストローク:2.8±0.25mm
・アクチュエーションポイント:1.6±0.30mm
Cherry MXシリーズで言うところの赤軸がお好みならSURFER、茶軸ならPULSEがおすすめです。VOIDはSURFERよりも弾力が加わった印象があります。個人的にはSURFERでも十分な静粛性があると感じましたし、僕の感覚にも合っていました。
チルトスタンドは一段階のみではありますが、コレがあるとないとでは大違い。実は前モデルの足は固定式で、傾斜がつけられなかったのです(FLOW Liteは除く)。特に独立したファンクションキーを持つ「Flow 2 100keys」と「Flow 2 84keys」は、チルトさせることで指が全域に届きやすくなります。
本体を裏返して左側のチルトスタンドを開くと、Bluetooth/2.4GHzワイヤレス/有線のモード切り替えスイッチが現れます。頻繁に操作するものではないので、普段は見えないように隠しておくという選択はアリですね。
充電および有線接続のためのUSBポートは右側面にありますが、黒いバーも用意されています。これはタッチで操作できるスライドバーで、初期状態ではボリュームコントロール機能が割り当てられていました。
記事執筆時点ではキーマップカスタマイズツールがリリースされていなかったために変更ができなかったのですが、レスポンスは良好です。小指で触れながら、軽く操作できますね。
●オプションなしで13型ノートPCの上に置いて使える設計
外出先でも優れたキータッチを求めて、ノートPCと外付けキーボードを一緒に持ち歩く方は意外にも少なくありません。この使い方で人気なのがHHKBなどのコンパクトキーボードですが、ノートPCのキーボード部の上に置いて操作すると、本体側のキーボードが押し込まれてしまって文字入力がしにくくなるというトラブルが発生します。
そこでゲタとなるパーツで底上げするテクニックがあるのですが、Flow 2には不要です。
オプションパーツを一切使わずに、直置きした状態で使えます。「Flow 2 68keys」であれば、タッチパッドも隠れません。
13インチMacBook Airの場合は、左右のスピーカーパネル部の上にFlow 2のゴム足が乗ることになるので、内蔵スピーカーの音質はスポイルされますが、普段はBluetoothイヤフォンなどを使っているのでネガティブな部分とは感じません。むしろセッティングの手間がないことにうれしくなってきますね。
チルトスタンドを使う場合も、ディスプレイパネルのヒンジ近くに接地させれば大丈夫。安定します。
●パッケージデザインの美しさもLofreeプロダクトの証
メカニカルなものが好きという男子のハートをつかんできたパッケージデザインにも、Lofreeのセンスを感じます。見てください。美しい“あしゅら男爵”テイストというべきでしょうか。左半分はキーキャップを外してキー軸を露出させているんですよ。箱を開ける前からこれほどワクワクしたキーボードは初めてです。
開封してからも、Lofreeのセンスが感じられる構成にニヤッとしますね。キーボード本体は半透明のシートで覆って期待感をあおってきますし、箱底部の付属品が入るスペースも、パーツの形状に合わせたデザインが施されています。
そして一番驚いたのが、Windows環境用のキートップが付属してきたことです。以前からmacOSでもWindowsでも使える設計となっていたLofreeのキーボードですが、あわせて使うPCに合わせて適切なデザインのキーキャップが使える優しさってありがたいですね。
●個人的な唯一のマイナスポイントはJIS配列がないこと
キータッチはスマート&スムーズで慣れやすく、キーの数も選べる。カーソルキーのキーキャップが妙に小さくなっていることもなく、勢いよく長文を入力しても安定している。これなら出張時に、これまで使っていたキーボードを持ち歩かなくてもよくなる……と思えたFlow 2。個人的に購入すると決めているのですが、前述したように、1点だけマイナスだと感じる要素がありました。
それがUS配列のみだということ。80年代の国民機でPCの操作を学んできたがゆえに、筆者は今でもUS配列のキーボードを使っていると手が止まっちゃうことがあるのです……。
Lofreeはグローバル市場を意識した製品作りをしているから仕方ないかと思っていたら、なんですって? 「Lofree Flow Lite JIS」なるJIS配列のキーボードを出すんですってあなたたちは! 日本市場意識しまくってるじゃないですか!
もしかしたら、「待てばFlow 2のJIS版も出るのかも……」という期待と共にポチるのを遅らせるかどうか、悩む!
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