狭い部屋でもエクササイズできる!VRゴーグルで夏ダイエット 例年通り今年も冬に脂肪がつきまくりました。春になれば自然に脂肪が落ちてきて…とは全然いかず、これが中高年というものでしょうか。困ったことに、今年の夏には甥っ子の結婚式があります。このままでは絶対に礼服が着られないでしょう。さあ、どうする?というわけで、一念発起してフィットネスにチャレンジすることにしました。しかも、筆者がチャレンジしたのは、VRゴーグルを使ったフィットネスです。
その他の画像はこちら●VRゴーグルは「じっとして使う」から「激しく動く」へ
ダイエットは筆者にとって続かないことの代名詞です。ちなみに「ダイエット」という言葉、正しくは「食事療法」という意味ですが、世間一般では「痩せるための活動」として使っているので、ここでは運動も食事療法もダイエットとして語ることにします。
で、ダイエットですが筆者は小学生以来の肥満体質。中学生になって色気づいてダイエットにチャレンジしましたが、減ったり増えたりを繰り返しながら半世紀になります。
再び減らさなければならないモードが来ていますが、年齢的なものもあって簡単には減りません。それでも、なんとか夏までに体重を減らしたい事情(礼服問題)があるので、今回筆者がチャレンジしたのがVRゴーグルを使ったフィットネスです。
ちなみに、いろんなVRゴーグルが花盛りですが、どれを選べばいいのでしょうか。家電量販店とネットショップの実売データを収集しているBCNランキングによる「VR・ARゴーグル」の5月の月次データでは、1位がMeta Platformsの「Meta Quest 3 512GB」、2位もMeta Platformsの「Meta Quest 3S 128GB」、3位はエレコムの「VRG-M02RBK」が人気のモデルです。購入する際の参考にしてください。
筆者もこれまで、Meta Quest 3は映画鑑賞用としてしか使っていませんでした。つまり、動かないVRゴーグルです。それを体を動かすVRゴーグルにしようというのです。VRゴーグルはいろんな使い方ができます。
Meta Quest 3は、ケーブルや外付けバッテリーなどがなく、約515gと軽量なのでVRフィットネスに向いています。フィットネス系のアプリも豊富にそろっているので、その中から「これは!」と思うものをセレクトして実際にダイエット目的で使い始めました。
●筆者が実践中のVRフィットネスアプリ3選
筆者が実践しているVRフィットネスアプリは次の三つ。順番に紹介しましょう。
Beat Saber
まずは、超人気VRフィットネスアプリで定番のBeat Saberです。VRフィットネスをやるといえば、これを語らずにはいられないだろうと思って今回思い切って導入しました。
Beat Saberは以前から知ってはいましたが、これ、3000円もするのです。しかも無料お試し版はなしという強気のアプリでもあるので、どうせたいした運動にはならんでしょうと思ってスルーしていました。
で、実際にBeat Saberをやってみた感想は、「めっちゃええやん!」です。
確かに、前方から飛んでくるキューブをライトセーバーのような光線剣で切るだけのシンプルなゲームですが、切る方向が指示されているので、上から下に、右から左に、下から上にとランダムに変わる方向指示に素早く反応して光線剣を動かさなくてはいけません。
それに加えて、壁のような障害物が右前方から向かってくれば体を左に、左前方から向かってくれば右に、と素早くかわす必要があります。この障害物、下がり天井のように上方から迫ってくるとしゃがむことになるので、必然的にスクワットをするような姿勢になり足腰も鍛えられます。
しかも、この壁を避けながらも、容赦なく迫ってくるキューブを切らなくてはいけません。1ゲームは2分ほどですが、相当な運動量です。また、ビートの効いた音楽とともにたくさんのバリエーションがあるので、飽きないから継続もできそうです。
ゲーム中の脈拍や消費エネルギー(アクティブキロカロリー)をApple Watchで計測してみたら、エアロバイクを30分こぐよりも1.5倍ほどの運動量でした。
足腰を使いながら、キューブを切る方向に体や手を動かす瞬発力や判断力が養えることを考慮すると、中高年にこそおすすめのVRフィットネスアプリだと思います。
弱りがちな下半身の強化と、反射神経というか、ぼけ防止にめっちゃ効果がありそうな気がするのです。VRフィットネスアプリでどれか一つだけやるのならば、絶対にBeat Saberをおすすめします。
THRILL OF THE FIGHT!
二つめはVRボクシングのアプリ「THRILL OF THE FIGHT!」です。本格的なボクシング体験ができる内容で、サンドバッグやダミー人形、パンチングボールを使った基礎トレーニングモードがあります。
まぁ、サンドバッグを殴っても当然、抵抗はないのでなんちゃってではありますが、パンチングボールはタイミングよく叩かないと、ロッキーのように小気味よくボールが動いてくれないので、反射神経を鍛えるのにはよいかもしれません。
地味な練習に飽きたら、本格的な試合ができるモードに行きます。この試合モードが圧巻です。試合開始のゴングが鳴ると、さっきまでコーナー付近に立っていた対戦相手がいきなり目の前に現れてびびります。超接近戦での殴り合いが、相当にエキサイティングなのです。
こちらのパンチがヒットしたときは、相手がのけぞって気持ちいいです。いい感じにパンチを当てていくと、相手の顔が徐々に変形していくのもリアリティーがあります。逆に、相手からいい感じのパンチを顔面に食らうと、殴られた方の耳が聞こえなくなります!
これ、Meta Quest 3の左右のスピーカーから流れている声援などの音声が、一時的に片方のチャンネンルだけになる仕組みなのですが、これがものすごく効果のある演出で、本当に殴られたような気分になります。
映像も一時的にモノクロになるので、意識が飛びかけている!?という気分を味わえます。試合モードは、筆者のようなエントリーレベルでは1ラウンド2分ですが、この2分が実に長く感じます。対戦相手との超接近戦というプレッシャーの中、必死に殴り合う2分間は、本当にしんどいです。
腕を激しく動かしているから、ラウンドを重ねるごとに腕も重くなってきます。これまたVRフィットネスとして、十分な運動量のあるアプリだと思います。Apple Watchで活動消費エネルギーを計測したら、15分ほどプレイしただけで、30分のエアロバイクを超えるアクティブキロカロリーでした。
日頃、何かにストレスを感じている人には、闘争心を満足させて、その上、ダイエットにもなるので、Beat Saberと交互にやるとよいと思います。
XRWorkout
最後は、いわゆる筋トレを楽しくやりましょうというアプリ「XRWorkout」です。無料で試せますが、本格的にプレイしたい場合は有料課金になります。
筆者は無料版で試してみました。無料版の初心者モードでは、四つの運動を組み合わせたゲームが楽しめます。一つめは前方から飛んでくるターゲットを拳で殴るという、Beat Saberとボクシングを組み合わせたような運動です。
二つめは前方から二つのコンビで飛んでくる少し前後にずれのあるターゲットを、すばやく叩き落とすという、ちょっとエアロビクスっぽい動きです。
三つめは前方から迫ってくる三角形の高さに顔を合わせるという足腰を鍛える系のものです。そして四つめは、その場でランニングです。この四つの運動を切り替えながら体を動かすアプリです。
三角形に顔を合わせるのは、右下とか左下などに飛んでくることもあるので、単純なスクワットだけではなく、ストレッチと組み合わせた運動になるので、足腰を効果的に鍛えられます。
ただし、一つ問題が。この三角形、かなり高いところに飛んでくることもあるので、その場合、タイミングよくジャンプしなければいけません。マンションだと下の階の住人からクレームがくるかもしれません。
その場での駆け足も同様に下の階に響く可能性大です。なので、戸建てに住んでいる人以外はちょっと使いにくいかもしれません。でも、運動量は前述の二つのアプリと同じように相当なものです。
●「狭い部屋じゃムリ?」そんな不安も解消!
読者の中には「うちは狭いからVRなんて無理」と感じる人もいるかもしれません。しかし実際には、Meta Quest 3とそのアプリの多くは、畳一畳分のスペースがあれば問題なく使用できます。
アプリ側にも"セーフゾーン"の設定機能があり、動きが大きくなると警告を出してくれたり、リアル空間が見えてきたりするので安心して運動できます。また、ステップ運動やパンチ動作など、その場で完結する動きが中心なのでワンルームでも十分に活用できます。
フローリングの部屋にはトレーニングマットを敷いて滑り止めにすることで、より安全に使用できます。家具の配置を少し変えるだけで、VRフィットネス専用スペースを作ることも可能です。
●まとめ:今年の夏、自信をもって礼服を着るために
運動は「つらいもの」から「楽しめるもの」へ。最先端のVR技術と少しの工夫で、日常生活の中に“自然な運動習慣”を取り入れられます。礼服のサイズが心配な人、健康診断が気になる人、何より鏡に映る自分を見て笑顔でいたい人へ。
今年の夏は、VRゴーグルとアプリの力で自分をアップデートしてみてはいかがでしょうか。(3Dデザイナーズスクール https://3dschool.jp/ 学長・西脇 功)
西脇 功
3Dデザイナーズスクール(https://3dschool.jp/)学長。製薬会社勤務を経て、1987年にApple社のMacintoshに出会いコンピュータ業界へと転進。IT系企業数社でコンテンツマーケティング、広報・宣伝のプロとして活動。製品導入事例の執筆、オウンドメディアのWebサイト立ち上げからコンテンツ作成までを一人で担当。2020年独立し、合同会社天使の時間を設立。3DCGソフト活用のためのオンラインスクール運営や、Webメディアへの記事執筆を行っている。