
今年もイチロー(51)率いる「KOBE CHIBEN」VS「高校野球女子選抜」のエキシビションマッチが8月31日に開催されることが決まり、5回目となる今回はイチローの地元・名古屋(バンテリンドーム ナゴヤ)で行われる。
【写真を見る】51歳イチロー 今年も本気の勝負「“ボッコボコにするぞ”という気持ち」松井秀喜の連続参戦に「もうなんか心意気だなって」と感謝
昨年に引き続き特別ゲストとして松井秀喜(51)、松坂大輔(44)が出場するほか、今年は西武、ニューヨーク・メッツなどで活躍した松井稼頭央(49)の初参戦が決まり、元メジャーリーガーたちによる夢の共演が実現する。
イチローは“新加入”の松井稼頭央と神戸での練習でさっそく共に汗を流し、その身体能力の高さを改めて実感。2年連続の出場を決めた松井秀喜と、22年から4年連続出場となる松坂にも期待を込めながら、高校野球女子選抜チームとの対戦に向けて心境を語った。(後編/全2回)
イチロー:稼頭央どうだった?昨日。
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Q:もうちょっとやんなきゃいけないなみたいな気持ちになったようです。
イチロー:その感触を持ってくれたのはよかったね。“ヒデマー”はね(去年、事前に一緒に練習できなく)それを持てなかったからね。
Q:誰ですか?“ヒデマー”って。
イチロー:松井秀喜
Q:今年はその呼び方で行くんですか?
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イチロー:
ヒデマーでしょ、もう。対談のときにね。子供のときにブーマー(83年から阪急、オリックスなどでプレー)が好きだったって。じゃあ、ヒデマーって呼ばれてたでしょうっていう会話があったんですよ...それでヒデマー。
だからユニフォームを(どうするか)。稼頭央が来てくれるから、松井が2人でしょう。だから、稼頭央は松井で確定してるんだけど、ヒデマーを“ヒデマー”にするか、“松井”にするか、もしくは“G松井”にするか。この3択で本人が何を選ぶかなと思って。
Q:打診はされている?
イチロー:G松井と松井の二択は行きます。でもヒデマーはこの段階ではないんだけど、どうでしょうね...
Q:さすがに抵抗されるのでは?
イチロー:ヒデマーがあれだもんね。浸透してないから...浸透させようかな。まずはね。もう力になってくださいよ(笑)、ヒデマー。
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昨年、初参戦の松井は終盤の8回にライトへ豪快な3ランを放った。東京ドームでは20年ぶりの試合となったが、現役時代を彷彿とさせるホームランを放ち、集まった会場のファンを大いに沸かせた。
Q:去年、(試合)終わってから2人でお話されてるときに、「来年、怪我を治してもう1回出るのもいいんじゃないの?」というやり取りがあり、今年出るとの返事を聞いたとき、どのように感じましたか。
イチロー:
おそらく体は準備できていないと思う中で、これはもうなんか心意気だなっていうか、気持ちで来てくれるんだろうなって思いました。
Q:松井さんはインタビューで「カッコ良く終わるなんて僕らしくないですよ」と仰ってました。
イチロー:
あー、そうか。確かに対談したときにね、松井秀喜の最後の打席って誰も覚えてないって話になったんですよね。いや確かにそうだと。それはマリナーズとのタンパ(当時松井が所属していたレイズの本拠地)での代打で、初球をショートフライで終わってるんだけど、確かにそれは僕やってた(出場してた)けど、あのときいたのにそれを覚えてない。
多くの野球ファンがそのシーンが出てこないんじゃないかとも確かに思うから。あれが松井秀喜、あれが最後だったというふうに考えると、確かにホームランで終わるのは松井じゃないという考えも...これ本人がね、そう言うからいいわけで。
Q:でもそれをカメラの前で本人が言うというところが、それはまさに心意気ですか、イチローさんが仰った。
イチロー:
なんかやっぱ時間とともにね、そういうことも表現...時間なのかそれとも久しぶりにこういうプロのチームじゃないけれども、一試合に向けておじさんたちが何か全力で自分たちなりに頑張ってる姿を見て思うところがあったらすごく嬉しいですね。あとは時間が経ってお互いに久しぶりに会っていろんな話して、自分の気持ちを素直に表現してもいいタイミングと判断したかもしれないし、そこはわからないですけど。
Q:(松井さんは)怪我をちゃんと治してやる姿を見せた方がいいんじゃないかというふうに思ったけど、その自信は正直言ってありませんと。
イチロー:つまりまだ怪我をしてるということですね。
Q:同じ打球が飛んできたら、きっとまた(足の怪我)やっちゃいそうですと。セントラルパーク走れって言われたけど、その時点で膝が痛くなっちゃいますと言いつつ、だけどサードやらせてくれたら、(松井)稼頭央さんと三遊間でっていうポジティブな言葉も仰る。
イチロー:
そうか、サードなんだねやるとしたら。僕はもう完全にセンターでって思ってたけど。(松坂)大輔が投げられないとするなら、センター・松井秀喜、ライト・イチローは叶わないんで。そうなるとサード松井秀喜、ショート稼頭央になりますねこの段階では。
Q:早くから参加してくれている松坂投手についてはどんな期待を今年はされますか。
イチロー:
投げられない、ピッチャーとしてはね。というふうに聞いているので、そこはもうあまりもうプッシュできない、プレッシャーかけられないので。まぁ少なくともレフトフライ捕れよって思ってる。レフト、打球捕ったら中継まではちゃんと返しなさいと。そこは厳しいですからね。
Q:イチローさんもこの(元メジャーリーガー)4人で同じグラウンドに立って試合をするっていうところのワクワク感みたいなものはありますか。
イチロー:
あるよ。それは同じユニホーム着て、遊びじゃない、ただ楽しいだけじゃない野球を、この歳になって夢中になってできるなんて。しかもこのメンバーでね。結局ね、最近よく思うのは、今やってることが正解かどうかなんてわからない。時間が経たないとその答えは見えない。現役終わってなんでそんな毎日一生懸命やってんだっていう。何も知らない人はそういうふうに見ることもあると思うんですけど、でもこういうことが起こるじゃないですか。続けてきて良かったって思うし、これを続けたらまた次何が待ってるかっていうそういう期待も膨らんでくるので、それはなんかやっぱ軸だよね。大きな軸、うん。
Q:去年初回にいきなり3点を取られましたが、ピッチャーとして、女子選抜チームのレベルと、対策についてはいかがですか。
イチロー:
どんな選手が来るか全くわからないけど、向こうは完全に把握して対策してくるので、どんどん僕は追い詰められていく状態です。だから、かといって新しいピッチャーになれるわけもないからね。もう投球術を覚えるしかないと思うんだけれど。仮に僕は140キロ、それを叶えたとしても打ちますからね彼女たち。だから神戸でやったとき(1回目)とは、もうまるで違うレベル。
実は稼頭央には...稼頭央ピッチャーだったからね。ちょっと(ピッチャー)できるんじゃないかと期待。何も話してないんだけど期待持ってたんだけど、そこは無理ですね。だって肩やっちゃっているから。だから今年も僕先発完投しないとしょうがないし、この試合においてはそれが彼女たちのバロメーターでもあるとも言えるので、そこは目指したいところ、僕がやらなきゃいけないこととして捉えています。
Q:昨日、稼頭央さんにピッチャーの可能性あるって言ったら目を丸くして、びっくりしてていました。「やれと言われたら準備します」って。
イチロー:それはね、気持ちの話だから。それは額面通り取れないですよ。
Q:ここまで大会を続けてきたことで、女子野球の展望、将来的にどのような方向に行くのが理想だとお考えですか。
イチロー:
やっぱりこうやって高校時代にスポーツを通じて、彼女たちは野球ですけど、一つの目標に向かって頑張れる。この経験は、大人になって30年後、その仲間とまた一緒にご飯食べたりね遊び行ったり。そのときにできることをやっておかないと、僕、後悔するの一番イヤだから。
未来が開けてるからそこに向かっていくわけじゃなくて、こじ開けなきゃいけないわけで。こじ開けられるかどうかわかんないんだけど、見えないその未来に向かっていくっていう姿勢は、何歳になっても大事にしたいし、17歳とか18歳の子たちに、人生は有限だから今のことを大事にしてって伝えられたとしても、実感としてはなかなか持てないので、そこはね、難しいとこなんだけれど、最後は仲間がいることってすごく幸せなことだから、こうやって野球を通じて心が通った仲間とね、何か大事にしてほしいなと思う。
Q:去年は51番をつけて、51歳になる年ということで。ただ9月だった(誕生日が10月)ので、実際は50歳。今年は本当に51歳でプレーします。どんな野球を見せられるというふうにお考えですか。
イチロー:
去年と大きく変わることはなかなか難しいわけでね。でも現状維持でいいとも思ってないんですよ。まず万全の体を整えること。で、自分がイメージした動きが表現できるかどうかは、もうそれにかかっているので。
万全であっても、稼頭央みたいに力強さとかね、それはないですよ。ないけどそのしなやかさとか動きの柔らかさとか、綺麗な動きとかっていうのは表現できるので、それで見てる人がハッとするっていうのは、目標に今も思ってるところですけど。去年はそれができてないですから。
僕らの全力で結果がどうなるのかを見ようと、気持ちとしてはもう“ボコボコにするぞ”なんですよね。ボコボコにするぞ。キツイかな(笑)。どうかな。
Q:でも相手を認めていないとそういう発言にはならないと思いますので。
イチロー:うんうん(頷く)
Q:では今年のゲームに対しての思いを改めて伺えますでしょうか?
イチロー:去年を経て、今年僕らの気持ちとしては“ボッコボコにするぞ”、そういう気持ちですよ。
【試合日程】
SATO presents「高校野球女子選抜」vs「イチロー選抜 KOBE CHIBEN」
8月31日(日)午後1時30分試合開始(バンテリンドーム ナゴヤ)