タイ人女性と国際結婚した日本人男性が驚いた“文化の違い”。親戚ぐるみで「“今ここでプロポーズしろ”って雰囲気を作られました(笑)」

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2025年07月09日 09:30  日刊SPA!

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川越渉さん
日本の窮屈な社会に疲れて、海外で「人生一変」を狙う人も少なくない。タイ・バンコクでタイ人の妻とともにゲストハウスを経営する川越渉さん(55歳)も、その一人だ。
「最初は、ちょっと仕事で来ただけだったんですけどね」

気ままな独身ライフから一転、現地女性との国際結婚、そして夫婦でのビジネスまで突き進んだ彼の甘くも苦くもあるリアルな生活とは?

◆タイに魅せられて…

広島県出身の川越さん。タイに魅了されたきっかけは何だったのか。

「雑誌の取材でタイに来たのが最初ですね。現地の雑誌社のスタッフにひと通り娯楽施設をアテンドされ、当たり前のようにハマってしまいました(笑)」

タイに魅せられた川越さんは、帰国後すぐにタイ語の学習を決意。タイの東大といわれるチュラーローンコーン大学のカリキュラムを選び、タイへふたたび渡るも、そこには予想以上の苦労が待っていた。

「カリキュラムは若い現役大学生が大半で、しかも基礎タイ語は既に習得済みの人ばかり。毎日出される課題の量も半端なくて四苦八苦し、蕁麻疹が出るくらいストレスが溜まりました(笑)」

◆「勉強のお手伝い友達」が、まさかの伴侶に? タイでの出会い

タイ語学習の宿題に追われる日々の中、川越さんはタイ日交流サイトで「勉強のお手伝い友達」を募集する。そこで出会ったタイ人女性たちとの交流をきっかけに、現在の妻であるインさんと出会う。

「勉強のお手伝い友達といっても、彼女に宿題を手伝ってもらった記憶はあんまりないんですよ。彼女、日本語できなかったし(笑)。ただ、彼女が『日本に行く計画があるので色々聞きたい』って相談してきて、それがきっかけで親しくなりました」

その後、川越さんはバンコクの新聞社に就職。彼女との交際もトントン拍子に進み、ここまでは日本と同じ……のように思えた。しかし、結婚となると、そこには“日本との決定的な文化の違い”が待っていた。

「ある日の会食で彼女の両親、伯母さんまで同席して“今ここでプロポーズしろ”って雰囲気を作られました(笑)。もう“NO”とは言えない状況でしたね。うちの両親の側も国際結婚に対する反対など一切なく、むしろ親戚ぐるみで推し進められました(笑)」

◆タイ人の女性は“独占欲”が強い

今年で国際結婚15年目を迎える川越さん。タイ人と日本人の女性との違いを肌で感じることも多いという。

「彼女は感情をストレートに出しますね。嬉しい時も怒ってる時も全部顔に出るし、遠回しな言い方は一切ない。日本人同士の“察する文化”に慣れていたので、最初は戸惑いもありました」

束縛や独占欲も、日本人とは少し違うという。

「私の中では、タイ人の愛情表現は、イコール独占欲だと捉えています。束縛されることはありますが、それは“愛しているから”というロマンチックな理由というよりも、“自分のものを他人に渡すつもりはない”という、もっと現実的で所有欲に近い感覚に感じます。特にタイ人女性同士はお互いをあまり信用していないどころか、敵視しているように見えることも多いですね」

また、思わぬところでこんな苦労も。

「飲みに行くくらいは問題ありませんが、夜遊びはかなり難しくなりました。独身の頃は、週末にふらっとパタヤに遊びに行くこともありましたが、今ではたった2時間の距離がずいぶん遠く感じます(笑)。とはいえ、日本人女性の方が言葉の壁もなく、行動パターンまで読まれてしまうので、正直もっと手強い気がします」

◆タイの「家族優先文化」で驚いたこと

タイで暮らす中で、タイ人の家族文化にも驚く場面が多々あったという。

「籍を入れていない事実婚が多いんです。片親、異父異母兄弟が日本では考えられないほど多く、それを当たり前のように受け入れていることには驚きました」

その一方で、よく話題になる“親戚の干渉”や“金銭の無心”はまったくなかったそうだ。

「華僑系の家庭だったせいか、親戚の干渉も金銭の無心もゼロ。日本で聞いてた“親戚総出で金をせびる”みたいなことは全然なく、むしろ拍子抜けでしたね」

また、妻からはこんな“痛烈な一言”も浴びせられたことがある。

「『貴方はタイに遊びに来てるんでしょ? 真面目にお金を稼ごうとは考えてないでしょ?』って言われたことがあります。まぁ、当時から現在に至るまでその通りなんですが(笑)」

◆夫婦でビジネスすることのリアル

タイへ渡り、6年目に仕事で独立した川越さん。現在は妻とともにゲストハウスを経営する傍ら、新聞社時代のコネクションを活かしてコーディネート業も手掛ける。しかし、ビジネスにおいて夫婦間の価値観のズレから、たびたび衝突もあるという。

「タイ人って“今が良ければそれでいい”精神が強くて、“損して得取れ”みたいな長期視点がないんですよ。さらに、サービス業なのに“お客さんに気を使いすぎる必要はない”って感覚も強いので、そこは苦労します。また、スタッフ間においても日本ほど上下関係、上司部下の関係がきっちりしていないので、上司に対しても平気でクレームを入れてくる(笑)。でも、慣れればそんなもんだと思いますし、決して悪いことではないとも思いますね」

さらに結婚当初は妻からの献身的なサポートもあったが、現在では状況が180度変わったという。

「結婚前はかいがいしいサポートもありましたが、現在はほったらかし(笑)。『なんで私ばっかりサポートしてるの? 貴方からサポートされたことなどほぼない』と、面と向かって言われたことも……。なので、最近は仕事の頼みごとを妻にすることはほとんどなくなりました。たとえ費用がかかったとしても、フリーランスのタイ人に依頼するようにしています。あえて言うなら、家庭内では仕事とプライベートをしっかり分けることが、無用なトラブルを避けるためのコツだと思っています」

◆日本社会の“窮屈さ”と、タイの“気楽さ”

今年でタイ在住16年目。川越さんはタイ人との付き合い方をこうまとめる。

「日本は社会全体に“空気を読め”って圧が強すぎて、疲れるんですよ。その点、タイでは外国人相手だと細かいニュアンスは伝わらなくて当たり前。相手も“外国人だから仕方ない”と受け入れてくれる。だから伝わらなくても気にしない、わからなくても気にしない。そう割り切れば、対人関係も夫婦関係もずっと楽になると思います」

そんな川越さんが、これから国際結婚を考える人に対してアドバイスするならば……?

「相手の家庭環境をしっかり見ることですね。家族構成、経済状況、文化の違い……そこを甘く見ると必ずトラブルになりますから。国際結婚って、本人同士の問題じゃなく、親戚・家族も丸ごとセットですからね(笑)」

最後に、タイという国の魅力を一言で語ってもらった。

「冬がない、気楽、助け合いの精神、夜が楽しい。タイは人生を肩の力を抜いて楽しめる国ですよ」

<取材・文/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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  • タイだけじゃなく、中国・台湾・韓国はじめ日本近隣アジア外国人との結婚は日本のド田舎の価値観と同じだよ。
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