岩手県久慈市の約9000万年前の琥珀(こはく)から見つかった寄生バチ「シリボソクロバチ」の仲間の化石(福井県立大・大山望助教提供) 早稲田大と福井県立大、久慈琥珀(こはく)博物館などは10日、岩手県久慈市にある約9000万年前(白亜紀後期)の地層から出土した琥珀2個に、寄生バチの一種シリボソクロバチの仲間とみられる化石が見つかったと発表した。
早大の平山廉教授らは2012年以降、同市内の「久慈層群」と呼ばれる地層の発掘調査を継続。これまで、恐竜やカメ、ワニの仲間など3000点以上の脊椎動物の化石が見つかっている。
琥珀は樹液が化石となったもので、久慈市は国内有数の産地。今回の琥珀は、17年に工場で選別中、内部に昆虫のようなものが入っているのが分かった。
平山教授と福井県立大の大山望助教らが、レーザー顕微鏡などで琥珀の内部を詳しく調べたところ、2個ある琥珀の一つからは1匹、もう一つからは6匹のハチが見つかった。体長は5ミリ程度で、触角や羽根、脚がほぼ残るなど保存状態が良く、いずれも現生のシリボソクロバチの仲間と判明。羽根の特徴などから、新種の可能性が高いという。
シリボソクロバチは甲虫などの幼虫に卵を産み付ける寄生バチの一種。一つの琥珀から同種のハチが多数見つかるのは珍しいといい、大山助教は「ターゲットに複数産み付けられた卵から羽化した直後に樹液に閉じ込められた可能性がある」と推測した。

岩手県久慈市の約9000万年前の琥珀(こはく)から見つかったシリボソクロバチの想像図(イラスト・ツク之助、久慈琥珀博物館提供)