防衛省の男性職員からセクハラを受けたとして、同僚だった女性職員が国と男性に計600万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は11日、セクハラ行為があったと認定し、国に250万円の支払いを命じた。一場康宏裁判長は、職場を離れた休日の行為も職務に付随すると判断し、「性的自由に対する侵害の程度は強い」と述べた。
判決によると、2人は2020年4月から約1年間、防衛省内の同じ部署で働いていた。男性は勤務中に女性の二の腕や下半身をもむといったセクハラ行為を繰り返し、休日に一緒に出かけた際には女性に抱きついた。女性は22年に適応障害を発症した。
判決は、女性が好意を受け入れてくれていると考えて、男性は身体的接触をエスカレートさせたとみられると言及。一方、女性は職場での関係悪化を考えると断れなかったとし、休日の外出先で抱きついたことも職務に付随した行為と判断した。
男性個人に対する請求については、国家賠償法が職務上の行為について公務員個人ではなく国などが賠償責任を負うと規定していることから棄却した。
防衛省は「判決内容を慎重に検討し、適切に対応する。隊員の意識改革や事案の迅速な解決体制の構築などの実効性あるハラスメント防止対策を通じて、ハラスメントを一切許容しない環境を構築していく」とコメントした。【安元久美子】
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